倉庫 GC
□拍手log
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□私の可愛い子猫ちゃん
ダリルが部屋に入ると、テレビ電話をするローワンを見掛けた。
「愛してるよ、スージー」
部屋の隅で、ローワンは大層幸せそうに画面に笑いかける。
それを見て、ダリルはあからさまに引いていた。
「何あれ」
同じく部屋に居た嘘界にダリルが尋ねる。
「故郷に残してきた子猫ちゃんだそうです」
嘘界は携帯を弄りながら、鳥肌の立つような答えを返した。
あの酷くつまらなそうな男に、よりによって子猫ちゃんだ。似合わないを通り越して気味が悪い。
「何あいつ。彼女とかいたんだ」
「さあ。初耳です」
外野で二人が顔を見合わせた頃、ようやくローワンは電話を終えた。
すかさずダリルは彼に近づいて尋ねる。
「スージーって、アンタの何?」
「……家族みたいな存在かな」
惚気てるよこいつ、とダリルはうんざりした。
そんなこととは露知らず、ローワンは端末を取り出し嬉々としてダリルに言う。
「画像あるけど、見るか?」
死ねばいいのに。そう心中で毒吐いたものの、ダリルは好奇心に負けて頷いた。
「ほら」
見せられた画像は
「猫……?」
アメリカンショートヘアの子猫。
「可愛いだろう?」
「………うん」
悔しいが、確かに可愛かった。