倉庫 GC

□届かない指先
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崩れ落ちた施設を前にして、ダリルは呆然と地面にへたり込んでいた。
辺りに声はなかった。
悲鳴の一つも聞こえなかった。
恐ろしいまでの静寂に、ダリルは薄く開いた唇から嗚咽ともつかない声を漏らした。
全部、なくなってしまった。
武器も、敵も、自分を想ってくれた人も。

「ダリル」

どこかで誰かが言った。

「泣くなよ、ここにいるから」

誰かはダリルの背後に歩み寄ると、震える彼の背中にゆっくりと手を伸ばす。

「独りになんてしないから、そんな悲しい声で泣かないでくれ」

ダリルは気付かない。

「頼むよ……」

泣きそうな顔で笑うローワンに、気付かない。

「ダリル」

伸ばした手はダリルの背を通り抜け、虚しく空を掴んだ。
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