銀魂(神銀)
□修羅と兄
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「銀ちゃんは馬鹿兄貴を殺すアルか?」
ジャンプをだらしない格好で読んでいたら不意に神楽が俯きがちに落ち込んでいる様子でそう言っていた
俺は深刻そうな空気に眉を顰め探るように神楽を見据える
「どったのいきなし、なんかあったの?」
いつもどおり気が抜けた声で銀時が返すと神楽はぐっと拳を握る
「パピーと銀ちゃんが馬鹿兄貴のことで話しているのたまたま聞いたヨ、ねぇ殺すアルか?……もし殺すなら…」
俯いていた顔を上げる
そして無理やり笑顔を作る
「私に任せるヨロシ、銀ちゃんには迷惑かけないヨ」
神楽の瞳は僅かに潤んでいた
「お前殺されるぞ」
海坊主に言われた言葉が銀時の頭を過る。同時にゆっくり瞼を閉じ次にふっと柔らかい笑みを口元に浮かべ神楽の元へ行き頭を撫でる
「餓鬼が強がってるんじゃねーよ、兄弟喧嘩したいなら拳じゃなくて口でやれ。」
糸が切れたように神楽は再び俯き小さく啜り泣く声をあげる
「どうしたものかね〜…」
ポリポリと頬を掻きながら神楽を寝かしつけた後暗い外へ出る、銀時の視線の先には赤い髪に薄く笑みを浮かべた少年が屋根の上に立ち銀時を見下ろしていた
人を殺めたきた後なのだろう、少年の手にはべっとりと血が付いていた
獣ような瞳で銀時を射抜くように見る、そして少年は口を開くと声を発さず
「ここまでのぼってこい」
と唇の動きだけで銀時にそう伝える。
青い目に銀時を映して言うと闇夜に紛れて姿をくらます
少年が消えた場所を銀時は瞳を細くしてただ見つめる
「俺は父ちゃんかーつーの」
はぁとぼりぼりと頭を掻きながら銀時は家の中に入る
そこには可愛らしい寝顔をした息子と娘の姿が。
「ま、俺が守るもんは今も昔もなにひとつ変わってないからな」
ふ、と優しく微笑むと銀時は寝床に入る