短編系
□こわいもの
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夜。真っ暗な道を歩きながら、私は隣に居る彼を見やる。パチリ―お互いの視線が交差する。目があってしまった。
「怖いなら手をつないでやろうか、honey?」
ハニーなんて恥ずかしい呼び方するな。そして別に怖くなんかない。暗闇なんて怖くは無い。
「ok、ok。じゃあhoneyは何が怖いんだ?」
私の怖いもの?一体なんだろう。お化け、否。そもそも信じていない物は怖くなんかない。人間、否。確かに怖い部分もあるが、目の前にいて悲鳴を上げるほど怖いものではない。ではほかに何がある。死ぬこと?否。生きている以上死は必ず訪れる。これは当然のことなのだから。怖くなんかない。
分からない。私の怖いものが。
「何だ、分からないのかよ?何かあるだろ?一つくらい」
彼はにやりと笑う。そう言われても、怖いものなんてなかなか思いつかない。
あ。そうか。ひとつあった。こわいもの。
「ah?何だ、言ってみな?」
『さっきから私の横で親しそうに話しかけてくる貴方。
ねえ、貴方は、だあれ?』
こわいもの
京極さんのこわいもの面白ひ。感化されてしまった。