楓は、左の髪を伸ばしていている。
そのため、左目が隠れていてあまり見えない。
本人曰わく
"顔が全部見えたらみんな俺に見とれるから"らしい。
まぁ、ルックスだけなら誰もが認める白馬の王子様だ。
そこは認める。
普段は、メガネをかけていないが勉強する時だけはかけている。
性格は、今までの流れで分かっただろうが、俺様ナルシストである。
こんな性格でもモテてしまうのだから、世の中も不思議だ。
「ほら、もう少しで時間だよ。」
そう言って楓の顔を覗き込んだ。
「なぁ、百合」
そう言う楓の表情は険しい。
僕には、なぜそんな表情になったのか分からない。
楓は、コロコロと機嫌が変わるからだ。
まるで乙女心と秋の空。
まぁ、そんな可愛いものではないと、付き合いが長い僕は知っている。
「何???」
「百合は、俺に抱きつかれてもテレたり逃げたりしないよな?何でだ??」
いつになく、楓の表情は真剣だ。
一方の僕は
「あ----びっくりした。そんなことか!!!」
「そんなこと!!!俺からしてみたら大事なことなんだ」
「だって、君は僕の家族なんだから照れたり逃げたりするはずないじゃないか」
「それじゃあ、男としてみられてない気がするぞ」
楓はなんだかガッカリしていた。
「そんなことないって!!!ほら、君のお気に入りの紅茶を入れてあげるから起きなよ」
「納得出来ないが、紅茶を入れるなら起きる」
そう言うと、楓は起き上がる。
本当に気分屋だ。
そういう面では、猫にも近いかもしれない。
「じゃあ、紅茶入れて来るから、リビングにちゃんと行ってよ」
「百合、服はどうした」
「いつもの所にあるよ。どうせ、シャワー浴びるんでしょ??タオルも置いといたから使ってね」
「流石、俺の女だ」
「はい、はい。俺の女じゃなくて、お姉さんだからね。それじゃあ、僕は行くからね」
僕はそう言ってベットから降りようとした。
「おい、ちょっと待って」
そう言って楓は僕の腕を掴んだ。
「へ???」
振り向いた瞬間、楓は僕の頬にキスをした。
「///きっ君ね---!!!」
僕は、キスされた頬を触った。
突然のコトに顔が真っ赤になる。
長年一緒にいるが、キスをされたのは楓が幼稚園のとき以来だ。
「お前は、姉貴じゃなくて俺の女だ」
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