□ACT.2
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記憶にない母の羊水に優しく包まれているような、柔らかなぬくもりを感じる。


久しぶりの心地良い眠りから目が醒めたエースが一番にしたことと言えば、近くにある窓の外を見ることだった。

とは言っても身体は傷だらけで(特に腹辺りが何故かズキズキと鈍く痛むので)首を動かしその方向を見るだけだったが。

真っ直ぐに差し込む太陽が目に染みる。





「………朝、か」





あまり覚醒してない耳に届いたのは、自身の掠れた情けない声。

無性に笑いが込み上げてきて身体を震わすが、鈍痛が腹に響いてすぐに止めた。



それにしても、何にも遮られることなく日光を浴びて起きたのは一体何年振りだろう。

清々しい気分で窓から目を離すと、最もな疑問が脳を過ぎった。





――――ここは何処だ?





見知らぬ天井に、生活感のある部屋。


丁度昨日から曖昧な記憶は夜を目度にぴたりと途絶えていて。


明るい部屋も横になっている清潔なベッドも、エースにはどれも馴染みがないものばかりだ。

僅かな戸惑いと不安、それから疑心を唾液と共に嚥下する。

身体を起こそうとするが、やはり動く気配は全くない。どうやら血を流し過ぎたようだ。

ふと肩に巻かれた包帯の存在に気が付き、エースは思わず舌打ちをしたくなった。







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