□ACT.2
3ページ/7ページ








――――ガチャ、



「…………、」


「……オ、オハヨーゴザイマス?」





何の前触れもなく開いたドア。その向かい側にいる人間が、驚いた風体でエースを凝視していた。

手に持っている盆にグラスと湯気立つ器があることから、悪ではないと判断し声をかけたが一向に返事が来る様子はない。

エースは恐る恐る掠れた声であの、と話し掛ける。

するとはっと気付いたのか、その人間はゆっくりと近寄ってきた。





「あー…ほら、水」


「どうも…」





水が並々と注がれたグラスを受け取ると、ぐびぐびりと一気に飲み干す。

渇き切った喉が潤い、数段声を出しやすくなったのを感じたエースはそうっと人間を盗み見る。


骨格や見た目からして男だが、随分と綺麗な顔立ちをしているなと思った。

髪の色が普通の日本人より薄いのは染めているのか、それとも遺伝か。

良く見れば瞳の色も薄いので遺伝なのだろう。


まあ、どちらにせよエースには関係のないことだ。





「っはー、生き返った!」


「そうかよ…腹は?」


「あっと…」



――――ぐきゅるるぉ



「………」


「減ってるな」


「……ハイ」





素直に空腹を訴える自分の身体が恨めしい。

赤くなった頬をごまかすように器の中身を勢い良く掻っ込んだ。







.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ