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□ACT.2
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――――ガチャ、
「…………、」
「……オ、オハヨーゴザイマス?」
何の前触れもなく開いたドア。その向かい側にいる人間が、驚いた風体でエースを凝視していた。
手に持っている盆にグラスと湯気立つ器があることから、悪ではないと判断し声をかけたが一向に返事が来る様子はない。
エースは恐る恐る掠れた声であの、と話し掛ける。
するとはっと気付いたのか、その人間はゆっくりと近寄ってきた。
「あー…ほら、水」
「どうも…」
水が並々と注がれたグラスを受け取ると、ぐびぐびりと一気に飲み干す。
渇き切った喉が潤い、数段声を出しやすくなったのを感じたエースはそうっと人間を盗み見る。
骨格や見た目からして男だが、随分と綺麗な顔立ちをしているなと思った。
髪の色が普通の日本人より薄いのは染めているのか、それとも遺伝か。
良く見れば瞳の色も薄いので遺伝なのだろう。
まあ、どちらにせよエースには関係のないことだ。
「っはー、生き返った!」
「そうかよ…腹は?」
「あっと…」
――――ぐきゅるるぉ
「………」
「減ってるな」
「……ハイ」
素直に空腹を訴える自分の身体が恨めしい。
赤くなった頬をごまかすように器の中身を勢い良く掻っ込んだ。
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