□ACT.6
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約三週間振りに復帰を果たした職場は相変わらずむさ苦しくて、仕事中にも関わらず悠人は何度も息が詰まりそうになった。

料理人としての腕は鈍ってなどいなかったのだが、減らない男の人口とその密集率が予想以上に辛かったらしい。

あの空間に慣れていたときとのブランクが激しくあると悠人の頭が痛みを訴えていた。





――――飯、作らねェと





瞑目すれば、実に美味しそうに悠人の作った料理を頬張る大食らいの居候の姿が過ぎる。

今ではすっかりと懐き、住み着いてしまったエースに料理を振る舞うことが悠人の密やかな楽しみと化しているだなんて、口が裂けても言えない。


男が男に料理を作ってやるだなんて、数年前の自分にとっては鳥肌ものだ。

これも、あの男だらけの職場のお陰なのだろうか。





「はァ…」





重いため息は夜のしじまに溶ける。


思い出すのは男の野太い声が飛び交う己の職場。

経営者であるオーナーの初老の男性が、生粋のイタリアだかフランスだかどちらかの国出身だという。

店で働く従業員は全員、オーナーの名を聞き彼を慕ってやって来た男達ばかりだ。

だから必然的に彼等には異国の血が混じっていて、血気盛んで喧嘩っ早い。







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