□ACT.6
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そんな従業員に激を飛ばしては義足で蹴りを入れ、悠然と腕を振るう姿には一種の憧憬の念を抱いていた。

だがそのせいでコックやウエイターの言葉は荒い。

レストランなのに何処か安っぽい居酒屋のような空気を醸し出しているのも、十中八九そのせいだ。

料理には文句のつけようもないのに、客を怖がらせる言動に気付きもしない能天気な同僚達の顔が浮んでは消える。


そう言えば今日も客とぶつかりオーナーの怒りを買っていたなと思い返して、悠人はそっと笑った。





「―――っと、」





マンションへ続く道を曲がる途中で冷蔵庫の中が空に近かったことを思い出して、悠人は足を止める。

どんなに調子が悪くても人より数倍は食べる居候が出来たせいで、食材を買い出す回数が大幅に増えた。

きっと今も腹を空かせているだろうと身体をくるりと半回転させる。


向かう先は二十四時間営業を掲げている大型スーパー。

縮まるその距離と比例し、悠人の頭ではバランスの良い夕食の献立が組み立てられている。


左右に飛びのく自動ドアを通過しカゴを手にする。

品定めながらも辺りを見れば、通常の家庭の夕食の時間帯をとっくに過ぎているせいなのか、人も疎らでレジも売り場もがらりと空いている。







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