□ACT.6
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今日はパスタにしようかとカゴを片手に会計を済ます。





「1438円になりまーす」


「カードで」


「はい、お預かりしまーす」





間延びした声とおかしな言葉遣いを少し不快に思いながら、悠人は時計を見る。

時刻は既に十時を回っていた。カードを受け取ると手早く買ったものを袋に詰め込み先を急ぐ。


エースの腹の音で隣近所の住人から苦情が来るかもしれない。

洒落にならないことを考えながら、悠人はマンションに着いた。





「ち…」





入口に設けてある装置に暗証番号を打ち込む。

普段は別に気にもならないのだが、こう急いでいるときに何桁かの数字を打つのは面倒臭く感じる。

しかしこのセキュリティや防犯対策が万全なお陰で、ここ数年空き巣や強盗が入ったなど聞いたことがないのも事実。

最後の数字を打ち込み、漸く開いた自動ドアを過ぎるとエレベーターがタイミング良くやって来た。

五十階建ての高層マンションを数十秒で駆け上がるそれは、すぐに悠人を三十八階に運んだ。





――――ポン、





軽い音が目的の階に到着したことを告げる。

そして部屋の扉の鍵を探す動作をして、開けっ放しで来たことを思い出した。


外気で冷えたノブを掴むと、ゆっくりと回す。





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