□ACT.6
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短い付き合いではあるが、エースが逃げるなんてことをするだなどとは悠人は微塵にも思っていない。

一応、食費も溜まりに溜まってある。



だがもしこの扉を開けてたとしても、中に誰もいなかったら?



そう考えると微弱な不快感が悠人の胸を襲う。

しかしずっとこのままにしておく訳にもいかず、悠人は思い切って扉を開けた。





――――ガチャッ





「おい、いるか?」





返事はないが、僅かに布擦れする音が耳に届く。

電気はつけずに月明かりだけを頼りに暗闇へじっと目を凝らせば、部屋の角に人影が段々と見えてきた。


それに向かって歩き出せば、びくりと影か揺れる。

どうやらシーツを被っているらしく、そのシルエットは何処か歪つだった。





「何やってんだ、てめェ…」


「………っ」





呆れたふうに声をかければ、逃げるように身を後退させる。

子供が大人に叱られることを恐れているような行動に、悠人はため息を吐いてシーツを奪い取ろうと近付いた。





「来んな…っ!」





その刹那に上がる、悲鳴に似たエースの声。

初めて聞くそれに少し驚いて、悠人の動きが止まる。

しかしそれも一瞬のことで、黙って悠人は大きなシーツの塊に手を伸ばした。







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