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□ACT.6
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「悠人…っ、止め…!」
「うるせェよ」
ばっと強引に剥ぎ取ったシーツを手に収め、手早く畳むとベッドの上に投げる。
改めて元の方向へ向き直った悠人が目にしたのは、丸く塗り潰された二つの緋色。
「お前…」
「っ、は…!」
闇に映えるその色彩は、苦しげに息を漏らすエースの瞳だった。
路地裏で拾ったときに見たのと変わらない、全く同じの色で悠人を弱々しく見上げる。
揺れる瞳は不安定で、焦点が合っているかも怪しかった。
エースは荒い呼吸のまま、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
「ヴァ、ンパイア…て、知って、るか…っ?」
「…ああ」
「…それ、なんだ…」
人間じゃあないのだと酷く傷付いた表情で告げるエースに、悠人はそうかと心の中で一人ごちた。
何処かで理解はしていたのだが、やはり多少のショックは受ける。
その数秒が静寂を生んでしまう。
口を開く様子がない悠人に、エースは消え入りそうな音量で呟きを発した。
「っ、出てく…!」
それは小さな声だったはずなのに、悠人の耳にはとても良く聞こえた。
(傷付いた声。そして何より)
(泣いているように聞こえた)
To be continued…