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□ACT.9
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履歴書はきちんと書けたものの、果たして通用するのだろうか。
大通り沿いに構えるレストランを目にして、まずエースが最初に思ったことだ。
悠人が働いてる店には約十五分で到着した。
目の前にあるのは気軽に誰でも入れそうな、けれども何処か厳格そうな雰囲気の漂う大きな店だ。
幾らか想像していたとは言えど、それはエースが思い描いていたものと違っていて。
ぼんやり見上げていると行くぞ、なんて裏口に回る悠人の後を慌てて追い掛けた。
「悠人…っ」
「慌てるな、語尾ははっきり、動きもきびきびしとけ」
ドアノブに手をかけた状態で悠人はそれだけ言うと、一呼吸置いてそれを捻って引いた。
――――ガチャ、
「さっさと皿洗え!!」
「付け合わせまだかァ!?」
「おはようございます!」
「飲みモン客に出したのか!!?」
珍しく声を張る悠人にもだが、何よりも賑やかで荒々しい声の飛び交う厨房にエースは目を白黒させる。
見事に男一色で、熱気がこちらにまで流れてきそうだ。
それを全く意にも止めないで悠人は颯爽と奥に向かう。
はっと置いていかれまいとその背を追えば、ちらほらと悠人に野太い声がかかる。
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