□あなたが
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からからに乾いた唇はところどころが裂けかけていた。

「ひでー顔。」

あいつが見たら笑い飛ばすような表情だ。

冷水で顔を洗い流し、しっかりしろと自分の頬を打つ。
それから机の上に置かれた一枚の紙を胸ポケットに収め、そのまま自宅を後にした。

外では同期の仲間が待っている。
その中に自分の最も愛した人はいないが、それを追うほど愚かではない。

この先の未来、自分が誰と生きるかは分からない。
例えそれが、かつてのあいつの居場所に誰かを迎える事になっても、自分が心の底から愛したその人の記憶はこの胸に抱き締めて墓場まで持っていくつもりだ。

それがあいつが最も望むことであり、最も自分の望む『これからの』生き方だからだ。











おわり

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