シカキバ

□雨雲を見上げて
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雨の所為で蒸せ返った様な空気は、シカマルの気分を遠慮なしに落とし込んでいった。

『いつになくぼーっとしてんじゃないの。何かあった?』

いのに呆れ顔で指摘されたのは昨日の事だ。
このところ常に気分は低空飛行で、何事もいまいち手につかない。
理由はほんの些細な事だ。

友人、犬塚キバに最近完璧に避けられている、たったそれだけ。

一週間前、シカマルは五代目火影、綱手に火影直属の補佐役への昇格の話を持ち掛けられた。
正直それは彼にとって仕事が増えるだけであって、あまり歓迎出来た誘いではなかった。
結果彼はそれを断る事となった。
しかし―――厄日というものは存在し、シカマルにとってその日がまさにそれだった。

帰り道、彼は偶然にも砂隠れの上忍、テマリに鉢合わせし、綱手から話を聞いたのであろう彼女にそこでも昇格を蹴った事をなじられる事になった。
そうして二人で言い争い、しばらくしていつの間にかこちらを窺っていたらしいキバに気付いた。
その時キバはひどくうろたえ、凄まじい速さで逃げ出していった。



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