Event Novels
□『world no smoking day』オマケ
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屋上の二人
「そういえばさぁ〜」
「んー?」
爽やかな風が二人の髪をそよがせ、気持ちのいい陽射しの下、まったりとした雰囲気が流れていた。
柵に凭れ快晴の空を見上げていた俺に、同じように俺の胸に凭れていたエドが俺を見上げ尋ねてきた。
「少尉が貰った手紙って一体誰から貰ったの?」
「んぁ?アレか?」
気になるか?と、にやっと笑いエドを見下ろせば、別にと顔を逸らされてしまった。
「本当は気になってんじゃねぇの?」
「なってねぇ!」
顔を除き込めばエドは、不機嫌に俺の胸から体を起こし離れようとする。
「拗ねても可愛いなぁ〜エドは♪」
「かわ、可愛くねぇっ!離せっ!」
真っ赤になって暴れるだしたエドの腰に腕を回し俺は胸に引き止めた。
「ゴメンって!からかって悪かったよ」
「いいっ!別に気になってなんかねぇ!」
「本当に?」
「…っ!」
わざと耳元で囁くように言えば、今まで暴れていたエドが大人しくなった。
「本当に、気にならないのか?」
「…………な、…なる」
小声だったが、やっとエドの本音が聞けた俺は笑って頭を撫でる。
「実は、あの手紙−−」
「なっ!?それじゃオレの勘違いなのか!?」
「まぁ〜、そーなるな」
「……………か…っ!」
「ん?」
しれっと答えた俺にエドは俯いて何かぼそぼそと喋るが、よく聞き取れなかった俺はエドの前に回り込み、顔を近付けた。
「少尉の……」
「ん?」
「少尉のバカーッ!!」
晴れて恋人同士になった今日。
俺は愛しい恋人に2度目の鉄拳を食らった。
「エドっ!悪かったって!なっ!!ゴメンって!」
「知らないっ!もぅ、少尉なんか嫌いっ!」
「うそーーーッ!?」
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執務室にて
「お疲れ様でした、大佐」
「君もご苦労だったな」
「いえ。……そう言えばハボック少尉は一週間の間、1本も吸わなかったそうですよ」
「そうか…」
「ところで、ペナルティーってなんだったんですか?」
「あぁ…、アレか?」
「大体、禁煙週間だなんて、うち(東方指令部)だけだったじゃないですか。それなのにわざと、大総統府からの通達だと嘘までついて……。
大佐は何をなさりたかったんですか?」
ホークアイの言葉にロイは、ふっと鼻で笑う。
「罰だよ」
「罰?」
「まぁ、色々あってな…。ハボックへの罰だったんだよ」
「はぁ……?それでは、私は失礼します。一週間分の仕事が溜まっていますので逃げないでくださいね」
「あぁ、分かっている」
その後、部屋に一人になったロイは呟く。
「彼の髪にタバコの臭いを付けた罰だったが…、罰ではなくなってしまったか……」
一週間の禁煙自体がペナルティーだと、ハボックが知る由はない。
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