Event Novels

□『Lover's day』
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Lover’s
        day


『…room』設定。

−−−その後の二人







「この書類にサインを頂ければ本日の業務は以上です」

「そうか」




本日最後となった書類に手を伸ばし、簡単に目を通しサインをし、ホークアイに返す。




「やっと終わったか…」




ふぅ、と一息吐き首を回せばコキコキと音が鳴る。


長時間書類と睨み合いをしていた所為で首や肩が悲鳴を上げているが、その痛みをどうにか紛らし、立ち上がる。



コートスタンドに掛けていた外套を手に取り、そのまま腕に掛ける。


さすがに6月ともなると朝晩と大分暖かくなったので、もう着る必要はないだろう。




「私はこれで失礼するよ」




まだ業務に追われている部下達に一言告げ部屋を横切ろうとすれば、ヒヨコ頭の部下が声を掛けてきた。




「上がりっすか?」

「あぁ」

「今日は“あの彼女”とデートっすか?」




ハボックが言う“あの彼女”というのは私の恋人−−−、エドワードの事だ。





私とエドワードが付き合いだして3ヶ月になる。



彼と付き合うきっかけとなったのが、此処のシャワー室だった。


それは、彼が使用していたとも知らずに私がシャワー室の扉を開けてしまったのが、事の発端だった。


シャワーを浴びる彼の姿が美しく、私はつい手を出してしまった。


それからお互いの気持ちも確かめずに事に及び、その後、気絶してしまった彼を仮眠室へと運んだ。



『………す、すき…………かも………?』



目を覚ました彼になんと言おうか躊躇っている私に彼は、疑問符付きではあったが告白をしてくれた。


その告白を受けた私は彼を夕食に誘い、自宅へと連れてきた。


自宅に連れてきたのには訳があった。


仮眠室での告白を受けた私は、あの場の雰囲気に流され告白してしまったのではないのか?と思ってしまい、彼にハッキリとした返事は待つ、と逃げ道を作った。


だが、私の弱気な言葉に彼は疑問符なしの返事をくれた。



『ちゃんと大佐の事、好きだから!後悔なんて絶対にしない!』



想いが通じ合い、私達は改めて愛を確かめ合った。





−−−の、だが……



翌朝、私を迎えに来たハボックが彼の後ろ姿を見てしまった。


見たと言っても、2階の窓際に立っていた彼の後ろ姿を一瞬チラッとだけだったらしいが、動体視力のいいハボックには色白で小柄という事まで確認できたらしい。



(普段から、その視力のよさを仕事に活用して欲しいものだ………)



その後、車中で2階に居た人物の事を散々聞かされたが、私は一切答えなかった。


それが悪かったのか、奴は勝手にその人物を私の恋人だと推定し(いや、当たってはいるが…)指令部に着いた奴はブレダやファルマン、況してや中尉までにも私の恋人がエドワード似だと触れ回った。


しかし、さすがにいくら似ているからと言っても、私の恋人がエドワード本人だと彼らが知る事はないだろう。


上層部の一部の間では、私が彼を手駒に取る為に体の関係を強いていると言っているらしいが、所詮は噂でしかない。


本より、指令部内では犬猿の仲と有名な二人だ。


誰もそんな噂を信じる者はいなかった。


それはハボックや他の者も一緒で、噂を信じない彼らはエドワードが私の恋人だとは一切気付いていない。



*
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