Event Novels

□『Easter』
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「さて、諸君に集まってもらったのは他でもない……」

「なんすか?あらたまって…」

「そうですよ大佐。なんかあったんすか?」

「ってか、なんでオレまで……」



ロイの声にハボック・
ブレダ・エドの順で声が上がる。



「大佐、時間がありませんので簡潔に。」

「あぁ、分かっている。……君たちには今日一日ウサギになってもらう」

「「「はぁ!?」」」





   『EASTER』





「なんでオレだけ……」


不満げに呟くと鏡越しに ホークアイと目が合い、ニッコリ微笑まれる。


「エドワード君は女の子なんだから、偶にはこんな格好もいいんじゃない?」



エドが着ているのはパフスリーブの黒のワンピース。
その上には裾にレースが施された白いエプロン…
所謂、メイド服。

だが頭には白いウサ耳が付いている。




何故、こんな扮装をしているかと言えば、それは大総統一言から始まった




「次の日曜はイースターだ。練兵場に街の子供たちを集めて祝おうではないか」




この鶴の一声で軍内部はここ一週間大忙しだった




硬い地面の練兵場全体に芝生を植え、あちこちにベンチや植木で造られたアーチやオブジェが幾つも設置された。

毎日の様に芝に水を撒き植木の手入れがされた。


殺風景な練兵場が今では青々とした芝が眩しい
庭園に姿を変えている。

それと街中の卵という卵を大量に買い占め、その一つ一つに様々な模様を描き、卵を模ったカプセルの中にお菓子やおもちゃを仕込んだりと、軍人たちが本職そっちのけでせっせと作っていた。




しかし、そこで何故3人がウサギになる必要があるかというと……





それは二日前のこと……





イースターの準備が着々と進む中央指令部の廊下を、ロイとファルマンが歩いていた。



「しかし凄いですね。
大総統の一声とは言え、アレは軍の練兵場に見えないですよ。」

「大総統にもご子息が居られるからな。盛大にしてあげたいのだろう。」

「…にしても、ちょっと盛大過ぎじゃありませんか?」

「仕方ないだろう。
予定に無かった噴水まで職人たちが張り切って造ってしまったからな……大総統は喜んでおられたが、見事に予算オーバー会計課が嘆いていた。」



二人は廊下から窓の外の練兵場を眺めた。



グレーの壁に硬い地面、 等間隔に木々が立っていただけで何も無かった
練兵場が、一週間という短期間で地面には芝が
植えられベンチやオブジェが置かれ、その中央には職人たちによって施された細工の見事な噴水。

そこからはさらさらと水のせせらぎが聞こえる。



ここまで見事な庭園になると誰が思っただろうか

軍服を着た者が居なければ、此処が一体何処なのか分からなくなりそうな風景が広がっている。



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