Event Novels

□『Easter』
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「この格好で外に出んのかオレ………」




「お願いね」とホークアイに言われた手前、部屋に戻る事も出来ず渋々、練兵場に向かう。




しかし、何時もならすぐに到着するはずの練兵場が今日はやけに遠く感じられる。




スカートを穿き馴れないエドにとって今の格好では普段のように大股では
歩けない。



普通に歩いていてもスカートの裾がふわふわ揺れ下着まで見えてしまうんじゃないかと、気になって手で揺れないように
押さえるが、そうすると今度は後ろが気になってしまう。



しかも、擦れ違う人達の
視線が怖くて下を向きながらなので、何時もの倍は時間が掛かっている。



(やっぱ似合ってないよな、っか早く脱ぎてぇ)



「ねぇ、彼女!」



ずっと下を向いて歩いていたので、目の前に人が居たことに声を掛けられて初めて気が付いた。




顔を上げるとそこには、数人の軍人たち。




「それ重そうだね」

「何処まで持って行くの?手伝ってあげるよ」

「君、名前は!何て言うの?」

「抜け駆けするな!俺が先に声掛けたんだぞ!」

「へっ………?」




エドは気が付いていない




スカートを押さえ付けるその仕草や、俯き加減でオドオドしている姿が
小動物のように可愛らしく男たちは皆、鼻の下を伸ばしていることに……




そうこうしている内に
周りに人がみるみる増えて、怖くなったエドは
隙をついてその場から逃げ出し、そのまま練兵場に出る扉の前まで来た。




「はぁ〜、恐かった……
あっ!卵……」



物凄い勢いで走ってしまったがバスケットの中は無事のようだ。




また囲まれる前にとっとと卵を置いて来ようと
エドが扉を開くと、そこに軍の敷地とは思えない光景が広がっていた。




噴水の水は暖かな陽射しを受けキラキラ輝き、
青々とした芝生を駆け回る子供たちの笑い声。

男の子たちは卵転がしレース、女の子たちはラグを広げた上で卵に絵を描いたりと、みんな笑顔でとても楽しそうだ。



暫く扉の前でその光景に目を細めて眺めていると不意に声を掛けられた




「大将……?」

「おっ、少尉!」

「うぉっ!!」

「???」




呼ばれて振り返れば、
白ウサギの着ぐるみを
着たハボック。


しかしハボックの顔は赤く口元を押さえている。




「どしたんだ少尉?顔赤いぞ??」

「い、いや……っ、何でもない!何でもないからその…、見上げてくれるな……」

「ん?何で?」

「……………」




ハボックのアングルから見ればエドが上目遣いで自分を見詰めているようにしか見えない。


それに服装がいつものパンツ姿ではなく、スカートを穿いている。


しかも、丈の短いメイド服に、ニーハイソックス!彼女に一度は着て頂きたいコス!!



+ウサ耳付き!!!




(は、犯罪だ……、犯罪級に可愛すぎだろ!!
つか、もろ好みなんですけどっ!
これ以上大将に近寄られたら俺、………掻っ攫いちまいそうだ!)




しかしエドにはハボックの気持ちが分かるはずもなく……




「やっぱ似合わないよな……」

「え?」




ボソッとエドが呟くも、
着ぐるみを着たハボックには聞こえるはずもなく




エドの勘違いは続行中…




そこにエドの存在に気が付いた子供たちが駆け寄ってきた。


しかも男の子ばかり……




「お姉ちゃんも一緒に遊ぼう!」

「ダメ!お姉ちゃんはボクと遊ぶんだ!」

「何言ってんだよ、お姉ちゃんはオレと遊ぶの!」

「先にお姉ちゃんに声掛けたのオレだぞ!」




小さくても男は男。


ウサ耳を付けたエドは
此処でも人気のようで男の子たちは、エドは自分と遊ぶんだと言い合いになり、その騒ぎを聞き付けた他の男の子たちまで集まりだした。


その様子を見ていた女の子たちはエドを白い目で見ている。


子供といえどその視線に居た堪れなくなったエドは男の子たちに皆で遊ぼうと提案するが−−−




「「「「ヤダッ!お姉ちゃんと二人がいい!!」」」」




即、却下された。


子供たちによるエドの
取り合いは、納まることなく益々騒ぎが大きくなっていく。



エド自身も足元に子供たちが居るため身動きが取れず、どうしたらいいのか分からなくて項垂れていた。


すると、いきなり後ろから手が伸びてきてふわりと持ち上げられた。




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