Event Novels

□『クナーベンシーセン』
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すると大佐は、ふっと鼻で笑い




「知識だけではどうにもならん。扱った事がなければ、それも無駄な知識だな」

「なんだとーッ!!」




扱いを聞いたくせに、知識だけだと言われムカついたオレは大佐に射撃の勝負を挑んだ。



アルには止めた方がいいと言われたが、この雨の日無能男に「頭だけ良くても仕方ねぇんだぞ」みたいに言われて軽く馬鹿にされて悔しくない筈がないだろ!!




「絶っっっっ対!勝ってやる!!!」

「負け惜しみに聞こえるから止めておけ」

「なんだとゴラーッ!」




(絶対に勝って、オレは知識だけじゃないってとこ見せてやる!!)







「た、助かった……」




一方、消し炭から免れる事ができたハボックは今度こそ逃げようと、ドアに手をかけた所でまたしても肩を掴まれた。


ゆっくりと振り返れば、そこには怖いくらい爽やかな笑みを称えた人物が一人。




「ハボック、お前は鋼のにいらん話をした罰として、明日の勝負の立会人をしろ」

「は、はぃ……」




改めて自分の運命を呪うハボックだった。





それから、明日の勝負の内容が決められた。



15メートル離れた場所に設置された円形の的に6発中何発的に当てられるか?という単純明解なもの。



(一応、オレが初心者だから15メートルらしいが、本来15メートルでも初心者が狙い撃つにはかなり難しい距離らしいと少尉が教えてくれた)



オレが勝った場合、大佐が所持している希少文献5冊を無条件でオレに譲渡すること。


もし、大佐が勝った場合は、一日大佐専用の部下になると約束した。


負けた場合、明後日の列車のチケットはキャンセル確実。



(一日大佐の側にいたら朝から晩までこき使われて、その日は確実にお持ち帰りされて、多分朝まで寝かせてくれない……況してや、3ヶ月振りだからそう易々と離してくれないに決まってる!
それは困る!非っ常〜に困るっ!!)



大佐が出した条件でオレは益々、負けるわけにはいかなくなった。






−−−そして、訓練当日





「お、おい……、なんの騒ぎなんだ……これ?」

「まぁ、訓練と銘打った鋼VS焔第二弾といったところじゃないか?」




前回の様にヒューズ中佐が、囃し立ててないだけまだましかもしれないが練兵場は訓練とはとても言い難い、お祭り騒ぎの様相を見せている。




「今日は訓練なんだろ?
真面目にやれよ真面目によ〜」

「そうなのだが、中尉が不在と知り、余計に盛り上がっているらしい。
だが、私達の勝負を早く終わらせる事ができれば事態の収拾も早くつくかもしれんな」

「なら、早く終わらせてとっとと訓練始めさせるぜ!」




この発言に大佐が口端を上げていたのを、オレは見ていなかった。





先攻後攻はコインで決め、先攻はこのオレ様。



普段は銃なんて持ちもしないし、使いもしない。


けど、昨日大佐の前でも話したが、構造と使い方ならばその辺の奴よりも知ってるつもりだ。



(それにあの後、ハボック少尉からも一通りレクチャーも受けたし)



あとは……




「オレ様が勝って文献を頂くのみッ!!」



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