Getting thing
□『29×15』
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−ある日の夕暮れ時。
『こんちわー』
執務室に珍しい客が来た。
金色に輝く髪を三つ編みに束ねた少年…
エドワードだ。
『おー。珍しいな大将。今日はアルフォンスと一緒じゃないのか?』
珍しい客に、ジャンは懐かしみながらも笑みをこぼす。
『こんちは、少尉。アルは宿の手配してる。ところで中尉っているかな?』
『ん、中尉?確か少し前に緊急会議が入って大佐と一緒に軍法会議室に…って おいおい、なんつー顔してんだよ』
『え…?』
エドワードは“大佐”と言う言葉を表情を曇らせていた。
『大佐と何かあったのか?』
ジャンが『ん?』と聞きに入るが、エドワードは『なんでもないよ』と今まで通り変わらず笑みをこぼした。
その様子に少し戸惑いを見せたがジャンも笑ってみせた。
『何があったかは知らねぇけど、時期に戻って来ると思うぜ。茶入れてやるから待ってろ』
ジャンがエドワードの頭をポンポンと撫でるように叩いてやると『子供扱いするな!!』と怒って見せた。
いつものエドワードに戻ったと言う雰囲気だったので、ジャンも自然と笑みがこぼれた。
『…ん、美味い』
エドワードがジャンの入れた茶を一口、口に含む。
『軍にあるお茶って、不味いと思った』
『ははっ、そりゃ確かにそうだな。まぁ入れた人次第っつーのもあるな』
その言葉にエドワードは『ふーん』と素っ気なく返した。
ジャンはあまり興味無さ気なエドワードを見ると頭を軽く叩いて仕事へと戻った。
暫くしてロイとリザが慌ただしい様子で戻って来る。
その様子にエドワードは少し不安気になり、リザに問い質す。
『どうした?何かあったのか?』
リザはエドワードを見ると言おうか言わまいか悩んだ。
その姿にエドワードは、寂しく思った。だがエドワードは笑って言った。
『あ…。オレ邪魔なら行くわ。報告書は置いてくから…じゃ!!』
『!エドワード君!!駄目よ!!!』
『っ、鋼の!!!』
エドワードは執務室を後にした。
ロイは慌ててエドワードの後を追ったが、思ってたよりも足の早いエドワードに追いつく事は出来なかった。
『…くそっ!!』
一方のエドワードはと言うと…。
『…あーあ。折角大佐に逢えたのに………。って違う違う!!大佐じゃなくて、うん!!中尉だ!中尉!!』
一人パントマイムしていた。
『…っ、無事でいてくれ…』
ロイはエドワードを探し回った。
護衛にリザとジャンを付けて。
慌てた様子に、ジャンは不思議に思えた
『一体何があったんスか?』
ジャンの言葉はロイの耳には入らなかった。きっとエドワードの事で頭がいっぱいなのだろう。
その様子にリザはジャンを横目で見た
『さっき、緊急会議で警告が出たの。傷の男のね』
『!じゃあアルがいない今狙われやすいのは…』
『そう。アームストロング少佐はまず大丈夫でしょうけど…』
『でも!!だったら大将に直接言えば…』
『、傷の男だけだったら…ね』
リザの足が止まるとジャンも咄嗟に止まり、ロイは二人を見向きもしないで走り続ける。
向かう場所は、エドワードの元。
『傷の男の他に、最近妙な事件があるらしいの。金髪の長髪ばかり狙われる事件。しかもまだ幼い子供ばかり…』
『ただの誘拐じゃ…ないんすか?』
『えぇ…。残酷な位…』
『…っ』