戦国BASARA夢小説[環×小十郎・政宗]続き

□第8話:Vacation!?
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環との再会から3年の月日が経っていた。
そんなある日のこと………

「環!!」

呼び止められて振り返る。
環の美しさは年を増すごとに輝いていた。
政宗は未だにふと見惚れてしまうことがある。
いつ見ても本当に美しい………。

「どうかなさいましたか?」

「長谷堂城に行く
支度しろ」

相変わらず勝手な政宗だが、今回は唐突過ぎる。

「そのように言われましても、こちらにも予定というものが………」

「たったと済ませろ」

んな無茶な。
そんなことができるわけがない。

「しかし………」

「政宗様!!
初耳ですぞ!!
その前に、この大量の書類をなんとかしてください!!」

散々探し回ったらしく、小十郎はひどく疲れていた。
環は唖然とする。

「その量、政宗様、最近仕事を全くしていないようですが………」

「それぐらいなんとかなる
一国の城主に、休みをくれてもいいだろう」

「それは仕事をしている城主の場合です」

すかさず小十郎の的確な指摘が入る。

「小十郎の小言は聞き飽きたぜ
それとも小十郎もついてくるか?」

「もちろんです!!
環と二人で行かせるわけにはいきません!!」

環は二人の様子に苦笑する。

「3人で行きませんか?」

環の意見とあれば、逆らえるはずもなく………。

「仕方ねぇなぁ」

「そうしましょう」

即答だった。
環は微かに微笑み、次いで小十郎の持っている書類を半分持つ。

「手伝いますから」

「すまないな」

「いえ」

政宗が一番喜んでいるのは言うまでもない。

「派手なvacationといこうぜ」

そうして長谷堂城への旅行が決定したのである。

その日の午後―

「如何用でしょうか?」

環は小十郎に呼ばれて、小十郎の部屋に来ていた。

「こっちにこい」

小十郎に優しく微笑まれた環は、おとなしく言う通りにする。
小十郎は環を自分の前に、背中向きで座らせた。

「じっとしてろ」

「はい………」

部屋には二人だけ。
環は少し緊張した。

環の絹のように美しい髪が、ファサっとほどける。
環の鼓動が次第に速くなっていく。

「環の髪はいつ見てもきれいだな」

小十郎が環の髪を指で梳いていく感覚がする。

(やだ………
心臓がバクバクしてる………
小十郎様に聞こえそう………)

そんな環の心境を知ってか、知らずか、小十郎は耳元で囁いた。

「少しいじるぞ」

ぞくっとする。
環は思わず目をつむった。
耳が熱い。
顔も真っ赤に違いない。

「できた
こっちを向いてくれ」

環は小十郎の正面に向き直る。

「似合ってるぞ………」

「えっ?」

小十郎に鏡を渡され見てみると、可愛らしい蝶の簪が刺さっていた。

「小十郎様………これは………」

「環に似合うと思って、昨日買ったやつだ
受け取ってくれ」

環の中に温かいものが広がるのを感じた。

「ありがとうございます………
大事にします………」

なんだか照れくさかったが、ちゃんと小十郎の目を見て言った。

小十郎は嬉しくなって、呼び出した理由を忘れそうになる。

(っと)

「それで………」

照れ隠しに咳ばらいをし、用件を告げる。

「一応だが、長谷堂城に先に行って、様子を見てきてほしい
しばらく使ってなかったからな」

「はい
お安いご用です」

環は簪を愛おしそうに見つめ、そして気持ちを切り替えて立ち上がる。

「すぐに行ってまいります」

環は米沢城を後にした。



長谷堂城の入り口の前に立ち、辺りを見回す。

(火薬の臭い)

火薬が飛ばされるであろう場所を正確に察知して飛び退くと、
そこに頑丈な網が落ちてきて、環を捕らえた。

(しまった)

もがけばもがくほど網が絡まる。
そして、小十郎にもらった簪が気づかぬうちに落ちた。

「私についてきてもらおう」

環の前に一人の男が立つ。

環は目の前が真っ白になった。

(小十郎様!!政宗様!!)

そこで意識は途切れたのだった。

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