戦国BASARA夢小説[櫂×いろいろ]

□第5話:束の間の幸せ
1ページ/1ページ

櫂は佐助に誘われて、甲賀の村に滞在することとなった
櫂が村で見たものは、伊賀とは正反対の世界
貧しさや治安の悪さ、虐めや嫉みなどだった
それでも懸命に生きようとしている下忍たちの姿は、旅をしてきた櫂にとって珍しいものではなかったのである
櫂が驚いたのは伊賀と甲賀の違いであった

「伊賀は上忍が統治してるからな
甲賀は上忍がいない
中忍が欲のままに治めてるって感じだ」

「うん…
聞いてはいたけど、ここまでひどいとは思わなかったからさ
………俺なんかがいても大丈夫なの?」

「幸い、ここの村はまだマシな方だ
櫂みたいに髪が金髪な子もいるし、気にしなくてもいい」

そう言って、佐助は今にも屋根が崩れそうな家に機嫌よく入った

「おばちゃん、元気にしてる?」

「あら、佐助くん
おかえりなさい」

櫂は中には入らず、ひょっこりと顔だけ覗かせた
そのおばちゃんに罵倒されたりしないか、不安だったからである
しかし、おばちゃんは櫂を目に留めてもにっこりと微笑むだけだった
櫂は警戒を少し解いて、家の中にお邪魔した

「佐助くん、お友達かい?」

「まあね
弥勒 櫂っていうんだ」

「櫂くんかい
はじめまして」

「はじめまして…」

おばちゃんがやけにあっさりと受け入れるものだから、逆に奇妙に感じながら、櫂は挨拶をする
そして家の中を見回してふと気付く

(うわぁ…
綺麗な赤ちゃん…)

部屋の奥に静かに眠っている赤子
大きくなったらきっと美人なくノ一になるに違いない

「美人だろ?
さっき言った金髪の子
かすがっていう名前で、つい先日生まれたばっかだよ」

「へぇ…」

佐助は嬉々として語る
自慢できるのもわかる気がした

「かすが…」

櫂は近寄って、恐る恐る名前を呼んでみる
するとかすがはゆっくりと瞼を上げ、澄んだ茶色の瞳で櫂を見上げた

「かわいいだろう?
わたしの孫だよ
父親も母親も任務で今はいないけどね」

「はい…」

佐助もそばに来て、親しげに名を呼ぶ

「かすが♪」

「ばぶ…」

かすがはツンとそっぽを向いた(この頃からツンデレだったらしいという本体の妄想←)

「佐助、嫌われてるんじゃない?」

「俺様が名前を呼ぶといつもこうなんだよね〜」

「う〜ん…
かすが」

櫂が名前を呼ぶと…

「ばあ」

嬉しそうに返事する
二人はしばらく黙った

「佐助、やっぱり嫌われてるよ」

「かもな〜
あはは」

虚しい笑い声を発する佐助
そんな二人を、おばあさんは嬉しそうに見ていた





櫂はしばらく佐助たちの村に滞在した
最初は警戒していた村人たちも、櫂の明るさに次第に打ち解けていく
櫂の回りには必ず誰かいて、櫂は幸せだった
土地の改良や狩りの手伝いをして食料の確保に勤しんでいたことも大きい
いつしか櫂は村の中心的存在となっていた
しかしそれを快く思わないのはその村を支配する中忍

「弥勒櫂……
よそ者で異国人のくせにっ……
消してやる……
もう二度と這い上がれない地獄に落としてやろう……」

この村に、何より櫂に黒い手が差し迫っていた

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ