戦国BASARA夢小説[櫂×いろいろ]

□第1話:居場所を求めて…
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これは弥勒櫂という一人の男の物語…………


5歳で忍術皆伝した櫂は、伊賀という息苦しい場所から逃れるべく、
旅に出ることにした。
龍笛と毒香水、その他武器と魔法学書だけを持って、
煌びやかな衣服を身にまとって………

気の赴くまま、目的地も考えないまま、適当に漂う。
ただ、楽な旅ではなかったことは確かだった。

「あの子、金髪に青い目よ
気持ち悪い………」

「不吉だわ………」

「子供には見せちゃいけないわね」

どこに行ってもそう言われる。
もちろん、泊めてくれるような家はなくていつも野宿だったし、
龍笛がいくら上手くても稼げる金は少なく、食べ物もろくに手に入らなかった。
だけど櫂は希望を持ちたかった。
きっと誰か自分を受け入れてくれると………


加賀―

いつものように笛を吹く。
櫂の腕は一流だった。
美しい音色が響きわたるも、誰も櫂に恵もうとはしない。

そんな中、派手な格好をした男の子が、
女の人とこちらに向かってくるのがわかる。

「まつ様に慶次様よ!!」

笛を吹きながらその様子を見ていると、男の子が走ってくる。

「すっげぇ上手いじゃん!!」

櫂の前で止まり、そう声をかけた。
櫂は首をかしげ、次いで微笑む。

「ありがとう」

あとから男の子を追いかけて、若い女の人が走ってくる。

「まつ姉ちゃん!!
見てよ、こいつ!!
姉ちゃんよりきれいだぜ!!」

「最後の一言は余計です
でも本当にきれいな子ですね
でも、服もボロボロだし、家に上がっていく?」

櫂はびっくりした。

「俺のこと、気持ち悪くないですか?」

今度はまつと慶次が逆にびっくりした。

「そんなことないですよ?」

「すっげぇ美人さんだし、いいやつにしか見えないけど………
まぁ、周りの人間がどう言おうと、お前はお前だろ?」

櫂は初めてそう言われ、なんだか嬉しくなった。
満面の笑みを浮かべる。

「ありがとう」

まつは母性本能をくすぐられ、ときめき満載だ。

「かわいい」

ギュッと抱きしめる。

「わっ」

急なことで目は点だ。

「まつ姉ちゃん………
まあ、わからなくもないけど」

「あ、あの………」

まつは強引だった。

「行きますよ、慶次
そうそう、君のお名前は?」

櫂を連れていく気満々で、手をつなぐ。

「弥勒……櫂……です……」

櫂は展開の速さについていけない。

「じゃあ、櫂
一緒に行きましょ
ご飯をたらふく食べさせてあげる」

「えっと………」

断るのもあれだし………
でもお世話になるわけには………
葛藤する5歳児、弥勒櫂。

そんな櫂の心中はいざ知らず、まつは強引に前田家まで連れて行くのだった。

「櫂、気にすんなって
まつ姉ちゃんは世話焼きなだけだから」

慶次は櫂の耳元でこそっと言った。

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