10/07の日記

18:09
[環×小十郎・政宗]第4話:出会い4
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政宗の剣の稽古の時間、政宗と小十郎が木刀を交えているのを、環はいたって冷静に見つめていた。
どう考えても体格差がありすぎるのだが、政宗は負けじと小十郎に向かっていく。
小十郎も真剣に相手をしている。
さっきの優しそうな目つきとは全く違うからだ。

休憩時間になって、政宗が急にこう切り出した。

「おい、環
相手しろ」

環はびっくりして政宗を見つめた。

「やるのか、やらねぇのかはっきりしろ」

ここはやらないと後が怖い、と悟った環は反射的に返事をしていた。

「やります」

「いい度胸だ」

度胸も何もないとは思うのだが、やらざるを得なくなったのは事実だ。
環にとってこれほど面倒なことはなかった。
剣の稽古は決まって、相手の首を狙う訓練になるのが普通だからだ。
鍛え方がそもそも違う。
政宗とやって、何の意味があるのか。
環はいたって冷めていた。

「ほれ」

木刀を投げ渡され、木刀をじっと見る。

「早くしろ」

環は立ち上がり、剣を下段に構えた。
政宗や小十郎は上段の構えで、腹に隙ができやすい。
下段は頭と手首に隙ができやすいのだが………。

環は構えると、一瞬にして空気が変わった。
政宗の緊張感が一気に高まる。

(何だ………
この感じは………)

今までに感じたことのない気配と、あるような、ないような、恐ろしいだけでは済まされない殺気。
政宗の体は少しこわばった。

小十郎はその様子をさすがと見つめていた。
100年に一度の天才。
それが意味するものは、人を惑わせる殺気………。

「いきます」

………
一瞬だった。
環が政宗の隙を、とんでもない速さで突く。
武士でも達人の領域である者に見えるかどうかの速さ。
そして、政宗の首に木刀を添え、チェックメイト。
政宗はこう一言つぶやいた。

「視えない………」

そうして膝をついた。

環は木刀を置き、政宗にこう吐き捨てた。

「隙がありすぎ」

政宗にとって、これほどの屈辱があろうか。
以後、政宗はさらに必死に稽古することになる………

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02:35
[環×小十郎・政宗]第3話:出会い3
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さて、小十郎は城を案内すると言って、環の手を繋ぎながら城内を歩いていた。
環はずっと小十郎にべったりだった。
というのも、小十郎とすれ違う人物皆が環の美しさに驚嘆し、安易に近づいてくるからだった。
そのたびに小十郎が説明し、近づけまいとしてくれていたのだが、環はそのことを申し訳なく思った。

そして、小十郎はとある一室の前で止まる。

「どなたかいらっしゃるんですか?」

環はおそるおそる聞いてみた。

「ああ
俺の主だ」

片倉様の主?
環はまたもや首をかしげた。

「政宗様、失礼いたします」

「小十郎か
入れ」

小十郎は正座をし襖を開け、環も入れて襖を閉める。

環は純粋に驚いた。
小十郎の主という政宗は、自分とさほど歳が違わず、その上、右目に眼帯をしていたからだ。

「政宗様、剣の稽古の時間です」

「All right
すぐに行く」

政宗は振りかえりざまに環の姿を確認する。

「おい、小十郎
その女は誰だ」

珍しそうに環を見る。
環はすぐさま小十郎の背後に隠れた。
小十郎は苦笑し、政宗をまっすぐ見た。

「片倉家のお抱え軍師一族、斗宿家の者です
斗宿環と申します
妹のようにお思いください」

「斗宿の………
おい、隠れてねぇで出てこい」

環は小十郎の背中から顔だけをのぞかせた。
政宗もやはり、環の美しさに目を見開き嘆息する。

「〜♪またたいそうな美人だな」

「あの………」

環はやっと口を開いた。

「なんだ?」

覗かせた顔をまた引っ込め、そしてまた覗かせる。

「斗宿環です………
あなたは………?」

「オレか?
伊達政宗だ
覚えておけ」

「政宗様………」

環はしっかりとその姿を目に焼き付けた。
彼はきっと大物になると確信したから………

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01:59
[環×小十郎・政宗]第2話:出会い2
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環は父から聞き、小十郎のもとへ向かっていた。

(どんな方かしら
初めてお会いするわけだけど………)

少しばかり、いや、すごく緊張する。
なにせ、こういう形で他人と会うのは初めてだからだ。

(怖い人だったらどうしよう………)

不安ばかりが募る。
あれこれ考えていると、小十郎の部屋の前に着いた。
ドキドキする胸を抑え、襖の前に正座する。

「斗宿環です
お召しにより、参上いたしました」

小十郎はその声を聞き、やはりなと思った。
その淡々とした声には、子供らしさの欠片もない。

「入ってもいいぞ」

環はそろりと襖を開けるが、前に進もうとはしなかった。
緊張で体が動かないと言った方が正しい。
だって、後ろ姿からすると小十郎はオールバックなんだもの。
怖いったらありゃしない。

(初めて怖いなんて思った)

それが環の初めの感想だった。

動かない環を見て、小十郎は立ち上がり、環に近づく。
そして、頭を優しく撫でた。

ビクビクしていた環は殴られるものと思っていたが、小十郎の行動を意外に思った。
それと同時に、初めて頭を撫でられたと驚いてもいた。

「そう怖がるな
別に悪態をつくために呼んだわけじゃない」

環はコクンとうなずく。
小十郎は微笑し、環を抱き上げた。

「俺が、お前の主(あるじ)になる片倉小十郎だ
お前は?」

環は小さな声で答えた。

「斗宿環………です………」

「環か
いい名だな
宝石のように美しいといったところか………」

5歳児とは思えない美しい容貌をしている。
大人になったら、さぞかし美しい姫になるだろうなと思った。

「ここに呼び寄せたのは他でもない
環にはしばらくここで生活してもらおうと思ってな」

「ここで………?」

「ああ
ここなら家に縛られる必要もないだろう」

環は小十郎の言わんとするところが理解できず、首をかしげた。
小十郎は苦笑した。
この子にはまだわからなくてもいいのかもしれない。
自分の意図を………。

「大丈夫だ
心配はいらない」

環はとりあえずうなずいた。

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01:22
[環×小十郎・政宗]第一話:出会い1
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環の天才ぶりは誰もが認めるところである。
ただ、一般的な子供時代を送れていない。
当たり前だが、人を殺す子供が世間で普通なわけがないのだ。
それを快く思っていない青年がいた。

「環姫様(かんひめさま)の働きはたいへんすばらしいものです
この間も………」

「仕事の邪魔だ
用件を手短に言え」

「はい
環姫様の次のお仕事をと思いまして」

「………」

片倉様と呼ばれたその青年は、あごに手を当ててしばらく考えた。
若いころの片倉小十郎である。

(いい機会かもしれん
一度会ってみたいとも思っていたからな)

「その娘をここに連れてこい」

小十郎の言葉を聞いて、環の自慢話をしていた男は目が点になる。
斗宿家の掟では、16になるまで片倉家の人間とは会えないことになっているからだ。

「し、しかし………」

だがそれ以前に………

「俺の命は絶対だという掟のはずだが?」

「は、はい。申し訳ございません
必ずや、お連れいたします」

男はすぐに本家に戻った。


この時、環は5歳、小十郎15歳の春のことであった。

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00:45
ヒロイン2:織田薔薇
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ヒロイン設定


名前:織田薔薇[オダ バラ]

性別:女

年齢:20

容姿:妖艶な美姫。
スタイル抜群。
少しクセのあるぬばたまの漆黒の髪に、深紅の瞳。

性格:誇り高く、曲がったことが嫌い。
強く優しい性格だが、困ったことに我儘でもある。
半兵衛にはツンデレ。

備考:織田信長の隠し子。
世間的には存在しない姫。
ふとしたことで半兵衛を知り、豊臣軍の精鋭の衆になる。
武器は琴絃と飛針。
また、半兵衛のためにと医学研究に精を出し、自分の研究室を持っている。

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00:30
ヒロイン1:斗宿環
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ヒロイン設定

名前:斗宿環[ヒキツ タマキ]

性別:女

年齢:19

容姿:傾国の美姫。
スタイルも身長はさほど高くないが、非常に美しいラインをしている。
長い、絹のような漆黒の髪、深い紫色の瞳。

性格:クール。
無表情であまり表情は変わらないが、実は情にたいへん厚い。
しかし不器用なため、自分の気持ちを上手く相手に伝えられない。

備考:片倉家に仕える天才軍師、天才暗殺者の斗宿家の跡取り。
片倉小十郎景綱に仕える。
環は百年に一度の逸材とうたわれるほどの実力者で、3歳ですべてを修得、血濡れた道を歩み始める。
仕事中は非常に冷酷で、瞳に感情を映さない、鋼より強靭な理性の持ち主。
また斗宿家の人間は動物と話し、操る能力を持つ。
仕事外の環は非常に穏やかで、動物とたわむれ、読書をし、腕を磨くといった日々を送っている。
しかし、家事はいっさいできず、お茶を入れるだけでも台所が爆発するという始末である。
普段と仕事中のギャップが激しい。
武器は円月剣。

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