10/08の日記
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[環×小十郎・政宗]第5話:出会い5
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寝る時間になって、小十郎は三人で寝ようと言いだした。
はっきり言ってこのようなことは異常なのだが、環はいつも一人で寝ると言うから、たまにはいいだろうと、そうなったのだ。
環を間にはさみ、三人川の字で布団を敷いてもらう。
「小十郎、どういうことだ」
昼間、環に負けたことを根に持っている政宗は不機嫌絶好調だった。
「何か嫌なことでもございましたか?」
どう考えても嫌味である。
政宗の機嫌が悪い理由を小十郎が察していないはずがないからだ。
「こいつと寝るのが気にくわねぇ」
とは言いつつも、子供心ながらに環の風呂上り姿にドキドキしていた。
なんともエロい子供である。
不機嫌とドキドキで非常に複雑な心境ゆえに、憎まれ口しか叩けない5歳の政宗さん。
どうしていいかわからず、珍しくおろおろ。
そんな政宗の様子を見て、小十郎は苦笑するしかなかった。
「嫌なら寝なければいいのよ」
こちらも不機嫌絶好調。
環の場合、夕食時も、入浴時も、何をするにしても政宗に嫌味を言われ、挙句の果てに一緒に寝ろ。
寝たくもないわけである。
そもそも環は、一日に1時間の睡眠で事足りる。
別に一緒に寝る必要なんてどこにもなかった。
「いい加減にしろ」
さすがの小十郎も脅しに出るしかなかった。
妙に威圧のある声に環はうなだれたが、聞きなれている政宗は何とも反応しなかった。
だけどこれ以上言うことを聞かなかったら何されるかわからない。
これも経験済みだった。
政宗も素直に布団に入る。
「環、そんなに縮こまらなくてもいいだろう」
環はどちらに寄り添うでもなく、真ん中で孤立した。
「しかし………」
誰かと寝る、という経験のない環は、人肌というものを少し恐れた。
その心中を察した小十郎は、怖がる環を自分の方に寄せた。
心なしか、環は震えているように感じる。
「大丈夫だ」
小十郎は環の背中を優しく撫でた。
環を包み込むように………。
環は次第に自分の方から小十郎に寄っていく。
そうしてすっぽりと小十郎の腕の中に収まった。
その一連の様子を、政宗は不思議そうに見ていた。
母親の義姫に嫌われたからといって、人肌のぬくもりを知らない政宗ではない。
環の着物をツンツンと引っ張る。
しかし、既に環は深い眠りについていた。
小十郎の心臓の音を聞きながら、安心して眠ってしまったのだ。
「政宗様、いかがなさいましたか?」
「何で環は人が怖いんだ?」
今日一日の環の行動をしっかり観察しての質問だった。
「政宗様も鋭くおなりになりましたね」
優しくそう言う。
「俺を怖がってたし、女中や、この城の人間、みんなを避けていた
人見知りというのも違う気がする」
「環はすでにこの年で、人を殺しています
家の人間に理由も教えてもらえず、ただ単に人を殺してきました
外の世界を、環は知らなかったのです
なにかしら、罪悪感のようなものが芽生えてきたのでしょう
他にも理由はあると思いますが………」
「なんてこった
その斗宿家はcrazyな輩の集まりか?」
「その質問には答えかねます」
政宗はしばらく黙りこんだ。
そして自ら環に近寄り、環の頭を撫でてみた。
小十郎はその様子に微笑し、政宗も引き寄せた。
「政宗様、人のぬくもりをお忘れなきよう………
いづれ、この地を治める貴方様なのですから………」
「………わかった………」
そうして、色々とあった一日が終わったのであった………
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