「家が遠い」  最終話

水川「変わんない?」
増田「はい」
水川「これ?」
草野「あ、はい」
水川「ごめんね、ビデオ分かんなかった」
増田「え、なかった?」
水川「ん〜なんか同じようなのがいっぱいあってさ」
増田「おかしくない?」
加藤「いっぱい!?」
水川「なになになになに!」
加藤「貸せよ!」
草野「返せよ!」
加藤「お前のかよ!」
草野「全部じゃねぇよ」
水川「エ ロビデオ?」
草野「えっあ、あの・・」
水川「普通、普通!」
増田「良かったじゃん」
草野「うぃー!」
水川「じゃぁ、ありがとね!」
加藤「あー、でもバイト終わるまで待ってようか」
水川「いや〜無理無理無理。だって11時ぐらいだよ、帰り。
   さっきバイト電話してー、うん、電話したし」
増田「サボるんすか?」
水川「んーそれはないけど、だから帰りな?」
増田「どうする?」
加藤「平気だよな?」
草野「うん」
水川「いや、でも長いよ、本当この人」
増田「あ、ま、適当に?うん」
水川「よかったね!よかったね!」

増田「あ、バイト大変ですね、バイト」
水川「んーまぁクビにはならないでしょ」
増田「え、バイトってクビとかあんの?」
水川「あるよーだって、うん、あるある」
増田「ふーん」

増田「ツバとか垂らしてきたらどうする?」
水川「まだいたんだ」
加藤「自殺ですか?」
水川「あー、うん、かも」
加藤「初めて見たー」
水川「なんか気失うらしいよ、途中で」
加藤「え?」
増田「じゃぁ痛くない?」
水川「痛いんじゃん?こう落ちてきてここで目が覚めるからあと
   こうなってる間全部痛いんだよ。キャー!って」
増田「ここで死なないの?」
水川「ここで死んだらずるくない?」
増田「ずるくないよ〜」
水川「ずるいじゃん」
草野「あ!手振った!」
加藤「嘘!?」
水川「え、しっしってやってんじゃない?」
増田「ホントだ」
加藤「やっぱどいてほしかったんだ」
草野「やっぱ飛び降りるんだ。どうする?」
増田「反対に飛べばいいのに」
加藤「反対に飛べー!」
増田「反対!反対!」
加藤「反対―裏!裏!」
増田「反対!反対!」
草野「向こう!反対〜!」
水川「横でもいいし」
加藤・増田「横〜!横〜!」
増田「裏!裏!バカー!」
加藤「バカー!オカマー!」
増田「しろ〜!」(!?)
草野「バカハゲー!虫けら〜!トカゲ〜!」

水川「何?餃子?」
加藤「気持ち悪っ」
水川「あ、いないいない!」

草野「何?」
加藤「シューマイではない。ニラが入ってる」
増田「餃子だろ」
加藤「分かんない。味は良い」
草野「うち白菜だよ」
水川「餃子?」
草野「あ、はい」
水川「餃子」
増田「訳分かんねーな」
草野「ダイニングメッセージ」
加藤「今ビル降りてきてたりして」
増田「見えないとこにいるだけでしょ」
水川「意外とまっすぐ落ちんのね」
草野「え?」
水川「意外とまっすぐ落ちんだなーと思わない?餃子なんてさ、
   羽みたいのがついてんだからこうホラ、ヒラヒラ〜っと
   落ちそうじゃない?」
増田「羽?」
水川「こういう、何て言うの?とじ目?合わせ目?」
増田「あ〜」
水川「もう刺激すんのよしな!調子乗るから」
加藤「そうする。シカトしようぜ。あいつバカだよ。反対で死ね
   ばいいのに」
草野「ホント。秘密に死んでほしいよね〜」
増田「っていうかあれだよ、うちらが騒がないから悔しいんだよ」
加藤「そうだ!」
増田「な?」
水川「なんか危ないからさ、みんな帰んな?」
加藤「いや〜」
水川「悪いからさ」
加藤「大丈夫。こないだ9時ぐらいまで遊んでたし」
水川「怒られるでしょ?」
加藤「大丈夫」

水川「何それ、何すんの?」
増田「あ、これ?これテープレコーダー。これ、録音もして再生も
   できんのよ」
水川「へぇ〜すごいね、いくら?」
増田「うーん、2,3。2,3千円。中古で」
水川「へ〜そんなのの中古もあるんだ」
増田「うん、なんか」
水川「何で何で何で?なんか英語の授業とかで使うの?」
増田「いや、趣味?」
水川「へ〜」
加藤「趣味?」
増田「今はそうだろ?これ、俺が曲作って歌詞とか入れてこうまぁ、
   軽い感じで?ギターとか入れてこうなんかまぁそれをまぁさっき
   もみんなで聴いたんだよな?」
加藤「あぁ」
水川「ふーん、すごいねー曲作るんだ」
増田「はい」
水川「へ〜」
増田「まぁ俺らのバンドの新曲も入ってるんすよ」
水川「ほ〜」
増田「な?」
草野「あぁ」

♪愛なんかいらない〜♪恋なんか知らね〜♪
♪俺は俺のルールでいくのさ〜♪俺は俺だけさ〜♪

草野「いって、痛、いて〜よ、もう。わぁ〜〜〜・・・ばぁ!いてっ」
加藤「あの〜木田!」
草野「何だよ!」
加藤「あの!あの話!」
水川「何?」
草野「え?あーな、なんかバンドに1人女の子が欲しいかな〜ってほんで
   さっきどうかな〜って」
水川「え?」
草野「あ、いや」
増田「あ、ほら、なんか遊びで・・こうホラ、俺ら部活とかやってないし、
   そう、そんでなんかこうどうかなって」
水川「え〜いや、無理無理無理」
増田「あ、はい」
加藤「おい」
水川「やりたいけど、お金ないし」
増田「あ、はい」
加藤「無理っすか?」
水川「うーん、無理だね。ひろあきも無理だと思うよ」
加藤「え?」
草野「トミー」
加藤「知ってるよ」
水川「お金ないし」
増田「え、でも楽器代の他にあとちょっとだけでいいと思う・・・」
水川「あー、うん、無理でしょ」
増田「バ、バイトとかしながら」
水川「うーん、この人、高校行かせてもらえないからさ」
草野「え?」
水川「就職すんの」
草野「そうなの!?」
水川「そう」
増田「どこ?サラリーマン?」
加藤「何屋?トミー何屋?教えてよ」
草野「教えろよ」
増田「キツイ所?ねぇ!」
手越「あ〜!!!」

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