小説T
□お伽噺の似合わない姫
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女の子はみんなお姫様だと言う。
私はそんなの嘘っぱちだと思う。
姫になれない女の子だっているんだよ。
「また連絡するから」
部屋から出ようとする私に君は言った。
その言葉に振り返ることなく出ていく。
君が好き。
好きじゃなければ初めてを捧げるはずがないでしょう。
だけど、君は私を“恋人”として見てくれない。
会えば抱くだけの女。
デートなんて未経験。
友達のままが良かったのかな?
「幸せを放棄した女の子はお姫様にはなれないんだよ……」
小さな呟きは、夜空に消えた。