小説T

□お伽噺の似合わない姫
1ページ/1ページ


女の子はみんなお姫様だと言う。

私はそんなの嘘っぱちだと思う。

姫になれない女の子だっているんだよ。


「また連絡するから」

部屋から出ようとする私に君は言った。
その言葉に振り返ることなく出ていく。


君が好き。
好きじゃなければ初めてを捧げるはずがないでしょう。

だけど、君は私を“恋人”として見てくれない。
会えば抱くだけの女。

デートなんて未経験。
友達のままが良かったのかな?


「幸せを放棄した女の子はお姫様にはなれないんだよ……」

小さな呟きは、夜空に消えた。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ