小説U

□心臓を差し出して
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細身でありながら、女性的な部分は豊過ぎる体。
狐に似た顔立ちだが、自分に自信があるだけあって美人だと思う。

自分と同じ国籍の人間は見当たらない船内。
きらびやかな装飾が豪華客船だと主張している。

黒髪が綺麗だと、女は近寄ってきた。
まさかターゲット自らが接触してきてくれるとは、棚からぼた餅ってやつか?

諺には自信がないのだけど。

女はスイートルームに誘い出す。この旅は休暇を利用しているらしいが、警戒心が無さすぎだ。
お痛の過ぎた売人だけども、まだまだこの世界では未熟な赤ん坊か。


「欲しいものはある?」

何でも用意すると女は言う。部屋を見れば、金に余裕があるのはよく分かる。

だけど、俺が欲しいのはココ。女の胸に手を添え微笑む。

港に着くまで時間はある。
もう少しだけ頂くのは先伸ばしだ。


時間が来たら、ちゃんと差し出してね?




題:ドルチェ

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