小説V
□正義のミカタ?違う、悪の救世主≠セ。
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柾子は慣れないことが起きていると思いつつ、茶菓子の用意をしていた。
「今日は栗羊羹か」
ひょいっと一切れ、参郎が口の中に放り入れた。背後からの奇襲に柾子は油断していた。
「また摘み食い!!」
「減るもんじゃない」
「間違いなく減りました!」
いつものようにヘラヘラと誤魔化し、参郎はもう一口と手を伸ばした。
柾子は呆れて何も言えなくなった。
今は準備の方が大事だ。
「客人が来ているのか?」
「よく分かりましたね」
「……まあ、そろそろ来る頃だと思っていたから」
珍しく渋い表情を見せる。その様子にさすがの柾子でもおかしい事なのだと分かった。
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