小説(三年)

□傷と迷子
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「も〜作兵衛ったら、怪我しすぎだよ!!」



保健室に呆れた声が響いた

毎度迷子探しをしてる俺は怪我をよく作る。何故か迷子達はあまり怪我をしてないのが不思議なのだが…
探して歩くのは、前をよく見ないで歩くから危険が増すのだろう…

でも怪我したら数馬に見てもらえばいいし、別に傷が残ってもかまわないんだけど

「も〜聞いてる?」

呆れた声の数馬を後目にそんな事を考える


「俺も、は組だったらなぁ」

「確かに、迷子組は大変だもんね…」

ニッ

「何?作兵衛ニヤニヤして」

「でもそれじゃ、数馬を探さないといけないなって思って」

「僕は迷子じゃないよ〜!」

「でも蛸壺によく落ちてるだろ」

「あれは蛸壺が多すぎるんだよ〜!」


ガラッ

保健室の扉が勢いよく開けられる

「数馬、怪我したから手当宜しく!あっ作!」

「三之助いらっしゃい、座って待ってて。作兵衛、手当て終わったよ」


「ああ、ありがとな!また宜しく」

手当が終わって用が済んだ俺は戻ろうと立ち上がるが、視線を感じて振り返ると三之助と目が合った

「何だよ!」

「作怪我したの?」

「かすり傷だから、たいしたことない。お前帰りはどうするつもりだ!?」


「帰り?保健室に居ろって言われた」


「それなら!よし!」

「何だよ、それならって…」


「俺は先に行くけど、治療が終わっても此処から動くんじゃねぇぞ!!」




「何だよ作の奴…
俺は迷子じゃないってーの」

言われた事に反論があったが、彼は既に出て行った後で言葉は届かなかった
 


「ねー数馬、作ってよく来るの?」

「作兵衛?うん。迷子探しでよく怪我するみたいだよ」

「迷子探し?誰探してんの?」

(うわあ、無自覚!)

「作兵衛可哀想…」

無自覚方向音痴は、聞いてるのか聞いてないのか…

「ふーん、
  数馬に用意して欲しい物があるんだけど…」

「何?」

「俺達野外の活動委員達の必須アイテム」

「それって…

 お安いご用だよ!」

(にっこり)


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