小説(三年)

□呼声は甘く
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「何処に行くんだとか、俺に行き場所言ってからにしろとか、勝手に動くな…とか俺について来いとか」


それからそれから


思い尽くす限りを並べて


ほらね


解った?なんて見つめた矢先には


みるみるうちに顔を赤くする富松作兵衛


俺の思い人


ああ‥これは言い過ぎたかと思う


何気ない事で沿れた話題が普段の態度に行きついて


あんな事は止めろお前はなってない、なんで俺なんだとか


面倒みたがり屋が煩く騒ぐ昼下がり


別に良いんだけど


そんな所も好きなんで


そんな自分にしたのは貴方のお陰ですなんて逐一詳しくあげつらっていった結果


赤くなった顔が今度は青くなった


自分の妄想でまた捕らわれて、身動き出来なくなってるんだろうなんて


見なくても解ってしまう思考回路これって三病だっけなんて頭の片隅で考えていたら


行き着く所まで行ったのか声が詰まって混ざった涙声


「…行きたい所に行きたいのはお前の自由なのにっっ…なんでっ……なんで俺が一々探してっっ……俺はお前の何なんだよ!!」


あぁ泣かしちゃった


自分の事で、困らせたり泣かせたりしてるんだと思ったら込み上げてくるこの気持ち




なんだかくすぐったくて


じわりじわりと


寄せる波のように


何度も


繰り返したくなる


ヤバいなァ


もっと困らせたい衝動をなんとか抑えて


だって全部俺のために、怒って泣いて


どうしよう


すげぇ


……嬉しい


「………俺を探して…俺の名前を呼んで…何度もっ…!!」



そのまま気持ちが溢れて抑えきれなくて…


抱きついたら逃げようとするその身体


逃すものかと


乱暴に引き寄せる



ああ…また泣いた


世話焼きで勝手に妄想を暴走して泣いちゃって


だから好きだと紡ぐ言葉は


貴方を困らせる


「俺の為に…泣いて…」


ふざけるなよぉ…


か細く聞こえた声は


やっぱり涙声











(だってどうしても)




(誰の為でもなく俺の為だけに泣いてくれる君が好きなんだ)







END


痴話喧嘩な次富。やっぱり富松を泣かしたい。


作兵衛の妄想は、間違った道だけど間違った道を選ぶ次屋の意志を尊重しなくていいのか?
でも連れ戻さないと大変な事になるだろうという気持ちもあって考えたけど答え出ないよどうしよう!何で俺がそんな事で悩まないといけないんだとか最後逆ギレた…。収拾つかなくて泣いちゃう作兵衛萌。






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