□モドキ達の一コマ劇場[新]
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冴島モドキの一コマ劇場
「先生…」
好き。
気持ちが溢れて止まらなくなる。
唇に触れた先生の温もりが忘れられなくて
もう一度求めて、思わずシャツの裾を掴んだ私を
きっと先生は見透かしてしまうんだ。
ゆっくりと見据えて、無言で頬に触れた先生の指先が
自分の予想は間違ってない
そう思わせた。
「目、閉じねぇのか?」
!!!!///
その動きに見入っていた私に、先生が真顔で聞くから
慌ててギュッと瞳を閉じた。
ドキドキと心臓は高鳴り、息苦しいのに
次に訪れる感覚を待ちわびる。
キスする少し手前の苦しさが好きなの
………?
しかし…
いつまで待っても先生の体温は唇に伝わらない。
うっすら片目を開けると、勝ち誇ったように笑う先生の顔が見えた。
「っ?!!!///」
からかってるの?!??
不敵に歪んだ唇が憎らしくて
だけど、私は気づかないフリをして再び瞳を閉じた。
キスする少し手前の裏切りが好きなの
そうゆう事にしておくわ。
少しだけ大人になったから…
正直、カケヒキなんてまだ良く解らない
気まぐれでもいいから
囁いて?
恋愛は惚れた方が負け
みんなそんな事を言うけれど
恋におちたら終わりなんて
悲しい事を言わないで
だって
わたしを大人にした
あなたの罪は重い
もしも、目蓋の向こうの先生が笑っていても
…困っていても
私は瞳を開けないから。
先生…
好き。
このままさらってゆきたい
このままさらって行って?
でなきゃ私…
このままさらってゆくわ
JUDY AND MARY『KISSの温度』より。
fin