SIREN

□Q.どうして抜け出せられないものか?
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「?!」

砂を踏んだような、こすれる音。
草木のざわめく、音。


「・・・屍人・・・か?」


「だ、だから僕はさっきもうすぐ来るって・・・!」


手元にあるのは、火掻き棒一本。

拳銃か猟銃だったら、勝ち目は・・・ない。


「淳、俺は合図したら、逃げて。」

「え?!」

「淳は、あんなのと戦いたくないでしょ?それに、その白いシャツ汚れたら目立つよ?」

「そんなこと関係ないだろ!!」


・・・幻視して、確認した。

相手は拳銃持ち。

真っ向勝負して、勝てる可能性は、少ない。

せめて、せめて淳だけでも助けたい。
美耶子を助けられなかった悔しさを、もう一度味わうのは、嫌だ・・・。


「淳、お願いだから、言うこと聞いて・・・」

「聞かない。僕の方が年上だ。」
「そういう、問題じゃないんだって・・・」

「・・・拳銃なら、一発は耐えられる。それに、僕がおとりになれば、そのうちに叩けるだろ?!」

「・・・でも、それじゃ淳が・・・」
「かまわない。もうこんな状況なんだ。逃げ切れればそれでいい。」


この状況から、逃げ出すことができるのならば、僕も協力する。
それほどまでに、抜け出したい、環境なのだ。


「・・・わかった。頼んで・・・いい?」

「あぁ。タイミングは任せる。」


どうして抜け出せられないものか?

このループから、抜け出せられる者は現れるのだろうか?

「今だっ」


今日も、異界から抜け出せられる気配は・・・ない。


Answer.どうにも抜け出すことができない。


end and next is あとがき。
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