腐男子くんの憂鬱−只今加筆修正中−
□腐男子くんの入寮
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<学園探索!2>
早く荷物見つかるといいな……。
まさか、今日届かないって事ないよね。
レジへ向かいながら、そんな事を考える。
ダンボールの中に、生活用品は、全て入っている。
このままだとお風呂に入れないし、歯磨きすら出来ない。
念のために、とトラベルセットも一個買っておく。
こんなものまであるなんて、すごいな。
一体何に使うんだろ……寮なのに。
あっ!!
もしかして、カップルが泊まる用だったりして!!
いいなー、攻めと一緒にこれ買って照れる受けとかすごい見たい!
いや、ツンデレ受けが気がついたら買ってるってのもいいな。
かごに、いつのまにかあるとか萌えシチュエーション。
そんな事を考えてると、あっというまにレジに着いた。
さっきの三人組はもう居なかった。
ちょっと残念……。
店員さんにカゴを渡す。
「お願いします」
いつもどおりに対応すると、店員さんは、少しびっくりした顔になる。
あっ、あれ。
なんかまずい事したかな。
コンビニじゃないんだし、気軽に「お願いします」とかいけなかったのかな。
不安げに店員さんを見ると、今度はニコリと笑われた。
えっ、やっぱり、おかしかった??
「すっ、すいません。気軽にしゃべったりして…」
すぐに謝ると、店員さんは、ますます笑顔を深めた。
「そんな事ないです。すいません、こちらこそ笑ったりして。」
「?」
「ああ、これじゃ分からないですよね。その
…ここに通われる方は、あまり言わないので、えっと……ちょっと、その……嬉しかったんです。」
ニコニコとまるで子犬のように笑う店員さん。
ああ、ワンコ攻め要員決定だな!!
こんなに可愛いかったら受けでも良いかもしれないっ!!
不穏な事を思いながらも表面上は、戸惑った顔を作る。
一般男子の普通だと思われる反応。
隠れ腐男子の鏡な僕。
もしかしたら、演技派腐男子選手権があったら一位を取れるかもしれない。
「はぁ……」
「あっ!すいません、勝手にベラベラと。」
店員さんが、しゅんとなる。
「あっ、いえ、大丈夫です。」
慌てて手を振った。
違うんですワンコ店員さん。全然その笑顔を周りの野郎どもに振りまいて、総受けでも総攻めでも、なんでもやってくれていいんです!
むしろ、そんな状況見たいです!!
僕の心の中の必死の弁明が届いたのか、またワンコ店員さんはにっこり笑った。
「俺、米崎って言います。よかったらまた来てください。」
さわやかに笑う米崎さん。
良い人だな、この人。
「あっ、僕は宮嶋翔です。よろしくお願いします。」
「こちらこそ。」
米崎さんは紙袋に、スキャンしたものを器用に詰め込む。
ここの店員さんの服装は、ギャルソンみたいな服装なので、そんな仕草も、どこか上品な雰囲気が漂っていた。
全て終わるとブレスキーをタッチポートに翳し、指紋センサーに指を置く。
「シャララン」という音と供に点数が引かれる。
「レシートは発行しますか?一応、登録されてるメールアドレスに明細は送られますけど。」
「あっ、じゃあ大丈夫です。」
「はい、わかりました。」
米崎さんがキーをタッチし紙袋を渡してくれる。
お礼を言い受け取ると、また微笑まれた。
ワンコ笑顔頂きました!!!
そんなに「お願いします」が嬉しかったのかな。そんな事で喜んでる米崎さんが可愛いくて、これは絶対KAIさんに報告だなって心の中の腐男子メモに記憶した。
さわやかな米崎さんに見送られ、気分良く店を後にしようとしたら、慌てた様子で米崎さんが後ろから追って来る。
あれ?何か入れ忘れたのかな……。