腐男子くんの憂鬱−只今加筆修正中−

□腐男子くんの入寮
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<学園探索!4>


そのまま部屋に戻る気分にもなれなくて、食堂の下見をする事にした僕。

ハンドブック片手に、地図に沿って歩くとガラス張りの入り口を見つけた。

少し歩いたせいか、意識もはっきりとしてくる。

ガラス越しから見えた食堂は、お洒落なバリ風のレストランみたいだった。
緑がところどころに見え、過落ち着いた雰囲気。

奥には水が流れているオブジェまである。
なんか、本当お金持ちの学校なんだな。

通わせてもらって、父さんには感謝しなきゃ。

今日別れたばかりの父さんを思い出し、ほんの少しホームシックになる。

もう部屋に戻ろうか、と引き返すとさっき見た三人組が歩いて来る。

あっ、さっきの不良三人組っ!

赤髪のリーダーは携帯を片手に急がしそうだった。
緑の髪の彼は、背が一番小さい。
隣の金髪の彼に構われて煩わしそうにしている。

良く見たら、なんかみんなカッコイイ感じがした。

なんか、腐男子レーダーに引っかかるな…。

段々、赤髪のリーダーの声が近づいてくる。

「はい、一番奥のVIPルーム押さえました。念の為、周りを東条派で固めます。はい、そうです。有栖川派が感づいて妨害があるかもしれないので。」

なんか物騒な事を言ってる。
まるで、どこかのマフィアのような話が次々に出てくる。

どうやら、東条さんという人を頂点にしてチームみたいなものを作ってるみたいだ。

絶対関わらないようにしよう……。

ぶるりと背中を震わせたけど、腐男子レーダーに引っかかり、さりげなく僕は三人を見送る。

丁度、金髪の彼が緑色の彼に蹴りを入れられていた。

痛そう……。

でも絶対、金髪×緑だな。

うん、うん。
納得してると急に肩を捕まれた。

「てめー、俺らのチームに、なにガンつけてんだよ」

無理矢理振り向かされると、赤髪の男がこちらを睨みつけていた。

ひぃっっ!!

一瞬さっきのリーダーがっ!?と思ったけど、よく見ると赤髪の男の身長は、僕と同じくらいだった。

でも……すごい睨んでるっ!
怖、怖、怖!

「ごごごごめんなしゃい。」

何はともわず謝れと、すぐ謝罪するも、どもった上に咬んでしまう。

はぅっ…恥ずかしい……。

ぼわっ!!

顔を瞬間湯沸し器のように一瞬で赤くすると、さっきまで睨んでいた彼が、突然ぶふっと笑った。

ああ、恥ずかしい…。
誰か、穴を掘ってください…腐男子一人埋めてください。

「馬鹿、どもんなよ!しかも噛んでるし。」

バンッと肩を大きく叩かれた衝撃で、僕は前によろけた。

「お前、有栖川派じゃねーだろ?」

断定的に言われ、意味も分からず思わず頷く。

「やっぱりな!お前みたいなやわっちーのが敵な訳ないよな。悪かったな、俺は東条派の幹部、結城さん付きの香西旭だ。なんか困った事があれば言ってくれ。」

不良っぽい見た目に似合わず、明るく笑う香西くん。言ってる意味は良く分からないけど、なんだか、霧緒っぽい。

雰囲気が、すごく似てる。

「お前も一年だろ?クラスは?」
「僕はA……。」
「なんだ、同じじゃねーか。これからよろしくな!」

にぱっと笑われると、つられて笑ってしまう。
こんなところも霧緒と似てる。

僕が、なんだか可笑しくて思わず笑うと、香西くんが目を細めた。

やばっ、今笑っちゃった!?
自分の失態に気づいて、すぐに笑うのをやめる。

「お前、これから心配だな。この学園の事分かってんのか?」

急に難しい顔をしだした香西くん。僕は首を傾げる。
ん?笑顔の事じゃない?。

「?…香西くんは…分かってる…んですか?」

一応、怖いので敬語を使ってみる。

「ああ゛?タメなんだから敬語使うんじゃねーよ?」
すごい勢いで睨まれ、僕は、すいません!と謝る。
「だあかぁらっ!!敬語!」
「あっ、ごごめんっ!」
「まっ、いいや。俺、チームに入ってるから先輩づてに色々情報入るんだよ。お前にも同じクラスのよしみで色々教えてやるからよ。おっ、そうだっ!これから俺の部屋来いよ!!!」

良いこと閃いたと、言わんばかりの邪気のない笑顔で誘われると、僕はなんだか、また無意識に頷いてしまう。

霧緒と似てる香西くん。
すごい今、霧緒に会いたくなった。
あいつに黙って入学したから怒って絶交かもしれないけど……。
だって、アイツお馬鹿なくせに、金積んで僕と同じ学校行こうとしてたんだよね。
(霧緒の両親も一応お金持ってるから、息子に激甘なのも悪いんだけどね…)


いくらなんでも友達にそんな犯罪を犯させる訳にはいかなかった。
それに、ここだってある程度頭良くないと入れないし……。
曲がりなりにも未来の財閥や企業の後継者がいっぱい通ってるみたいだから、それなりのレベルの授業だしね。

でも、一番は、僕が腐男子ライフを送る為なんだけど…霧緒居たら出来ないし…。
我侭な僕でごめんね、霧緒っ!
長期休みは絶対あやまりに行くからっ!!

「よし、じゃあ東側の五階だから行くぞ。」

心の中で、霧緒に土下座であやまってると、香西くんが先を促す。

太陽みたいな笑顔を持つ香西くん。
不良なのに、明るいオーラを持つ、不思議な少年だった。
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