愛の夢
□愛の夢−第2番−
4ページ/18ページ
はじめて、あいつを見た時。
なんだか予感は感じていた。
俺たちの関係が壊される予感。
本当は、俺もあいつに、少しだけ惹かれていた。
それは、お前に感じる衝動よりは
遙に小さかったけど、
確かに惹かれていた。
でも、認めたくなかった。
だって、俺はお前と違う人間になりたかったから。
違う人間になって、一人の人間としてお前と愛し合いたかった。
お前が選ぶ事の逆を、昔から意識して選んでいた。
お前が「オレ」と使えば、俺は「ボク」と言った。
お前が湯水のようにお金を浪費すれば、俺は倹約を重ねバイトまでした。
二人の違いを増やしていけば、いつかお前が俺を意識してくれると思っていた。
臆病な俺の、ささやかな意思表示だった。
でも、お前全然気にしないんだもん。
おまけに、あいつをずーっと想ってて、俺はとても悔しかった。
悲しかった。
やりきれなかった。
お前の口から、あいつへの惚気を聞かされる度に、本当は、腸が煮え繰り返りそうだった。
だから、これは正当な復讐なんだ。
俺を愛してくれないお前への。
あいつをめちゃめちゃにしてやる。
もう二度と愛せないように