愛の夢

□愛の夢−第2番−
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ファミレスでは、予想通りにBOX席に案内される。

俺と充は向かい合うように席についた。

改めて向かい合うと、俺の心は黒い感情で支配される。

こいつさえいなければ。

こいつさいなければ……。

俺と、こいつ。

どんな差があるんだ。

見た目?

性格?

いや、俺は雅彦の好みなら把握している。

お前が好ましいと思うように振舞える。

なのに……
何で、産まれた時から一緒だった俺じゃなくて、こんなヤツを選んだんだ……。

血の繋がりが問題なのか?

俺の愛は、そんな問題すらも超越してるというのに。

こいつの何が良いんだ。

なぁ、教えてくれよ雅彦。

お前の事なら、俺は何でも知ってるのに……。



しばらく充を観察していると、運ばれてきたお冷を見て、ニコリと微笑んでいた。

そんなものに微笑んで何がしたいんだか…。
馬鹿にした気持ちを抱きながらも、優等生の仮面を被り充に不思議そうに問いかけた。

「どうしたの?」

そう言うと、充は慌てたようにメニューに視線を落とし、小さな声で「何でもない」と呟いた。

だったら意味不明な事するんじゃねーよ。

心の中で悪態をつく。

どこまでも止まらない。

これは嫉妬だ。
充の仕草、表情、言動全てが、俺の神経を逆撫でる。

イライラするのに、充を意識せずにはいられなかった。


でも、今は嫉妬に狂ってる場合じゃない。
計画を推し進めなければならない。

「ここ、オムライスが結構おいしいんだ。」
「そうなんだ。」

充が、おっとりと答える。

「僕はオムライスにするけど、充君は?」
「えっと…」

親切な振りをして、充を誘導する。
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