愛の夢

□愛の夢−第2番−
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充は押しに、とても弱い。
俺は、強引にまた言葉を重ねた。

「オムライス食べてみない?」
「うん。」

案の定、充は、頷く。

「ソース、デミグラスかホワイトソース選べるけど、どれにする?」
「僕はデミ……」
「ホワイトソースがお勧めだよ。」

そう、ホワイトソースを選んでくれないと、俺の計画は始まらない。

オムライスを頼むのも、この為だ。

少し強引過ぎたかと、様子を見ると、充は沈黙していた。

悩んでるのだろう……。

あと一押し。

「同じのでいいよね?」

そう言うと、充は、やっと頷いた。
手間かけさせやがって。

俺は、すぐに店員を呼んだ。
オーダーが終わると、少し間が出来る。

充は、緊張した面持で、ちらちらと、こちらを見ていた。

多分、何を話すか考えているのだろう。

話しかけられるのも癪で、こちらから話題を振る事にした。

少し、興味もあった話題にする。

前に家に来た時に、充も双子である事を知った。
そして、片割れに直接会った。

あの片割れの、充への執着具合。

俺は、ひと目で分かった。

ああ、こいつも俺と同じだ。

片割れにイカれてる。

そいつの暗い光を放つ瞳や、苛立ちを隠さない態度は、まるで浮気現場を見た彼氏のよう。
まさに嫉妬に狂う男、そのものだった。

次に確信したのは、その片割れへの充の態度。

怯えていた。

見ているこっちが同情するくらい、相手の動作、言動に怯えていた。

ただ引っかかる事があった。

この二人の支配関係は、何に束縛されているのか。

俺は、試した。
わざと充の味方をしてみる。

案の定、片割れが怒鳴る。

無言で手を引かれ、従順に連れて行かれる充は、何も抵抗らしい抵抗をしなかった。

つまり、この関係は、充の引け目から成り立つものらしい。
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