愛の夢
□愛の夢−第2番−
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さっきまで、縋るように見つめていたのに、片割れの一言で、全て諦めた表情になる。
片割れの機嫌を伺うような卑屈な態度に、俺は確信した。
この二人はきっと、もう戻れない禁断の関係を超えている。
片割れの異常な支配欲。
充の怯えて卑屈な態度。
きっと間違っていない。
少しだけ興味を持った。
どんな関係が築かれてるのか。
小さい頃からそうなのか。
「充くん達の小さい頃って、どんなだった?」
「……え?」
「ホラ、友達に双子なんて、なかなか居ないからさ。僕達とは違うのかなって?」
「ふつうだよ。」
そっけない返答に俺は、更に核心を探る。
「お揃いの服とか着てた?」
「うん、中学までは……」
「へぇ、結構最近だね」
「……」
中学まで…。
この前会った片割れは、もう充とお揃いでは無かった。
つまり、中学までは二人の関係は、思いのほか対等だったようだ。
でも、中学まで一緒とは、少し気持ちが悪かった。
小さい頃に、双子だからとお揃いの服を着る事は、よくある。
でも、思春期を迎えた男二人が、仲良くお揃いだなんて、あまり一般的ではない。
俺たちは、趣味は似ていたが、中学時代には、お揃いの服は、全然着なかった。
「僕達は、小学校に上がる頃には、お揃いなんて、あんまりなかったな。まぁ、好みが似てるから系統は同じだったけど」
「そうなんだ……」
充は恥ずかしそうに俯いた。
その態度に、充から率先してお揃いにしていた訳でなく、片割れが充とお揃いにしていた事に気がつく。
段々と二人の関係が見えてくる。
変化が起きたのは高校からに違いない。
充は、一度カラオケでレイプ未遂にあっている。
もしかしたら、その前後に何かあったのかもしれない。
少し、カマをかける事にした。