愛の夢

□愛の夢−第2番−
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「僕達、仲は良いけど、あんまり二人一緒って感じじゃなかったんだ。充君のところは、べったりって感じだね。」
「そうかな……」
「二人の世界がありそう。他人にはけして
踏み込めない特別な世界がね。」


意味深に言うと、充は、ビクリと震えた。
ばつが悪そうに、視線を外す。

充の態度に、確実に二人は、特別な関係にある事を確信する。

分かり易い充の態度に、ほくそえんだ。

そこへ丁度良く、オムライスがやってきた。

警戒させてしまったようなので、優等生の仮面を被る。

「はい、充君。スプーン。」

優しく微笑みながら、スプーンを渡す。
まるで、今までの事が悪気がないように、親切に明るい雰囲気を出す。

それだけで、充は、安心したようだ。
簡単に人を信用する、その姿。
少しイライラしてくる。

さて、早く計画を進めるか…。

充がスプーンを受け取るスレスレに、俺は、わざとスプーンを落とした。

計画通り、オムライスのホワイトソースが撥ね、充の服を汚す。

「大丈夫?服にもかかってるね、トイレで洗ってきなよ」
「ご……ごめ……」
「あやまんなくても大丈夫だよ。ホラ染みになるから早く行ってきな。」

強引に充をせかした。
早く行かなきゃ、計画が実行出来ない。

充は、慌てた様子でトイレへと走って行った。

完全に姿が見えないのを確認し、俺は自分のオムライスのソースに、睡眠薬を混ぜた。

幸い白いソースなので、粉はまたたくまに目立たなくなる。

すぐに、店員を呼び、事情を説明し、作り直してもらえるようお願いした。

俺が少し目を合わせると店員は、顔を真っ赤にして、頷いた。

こういう時、自分の顔は便利だと思う。

店員と入れ違いに、充がトイレから出てくる。
すっかり意気消沈していた。

俺は、充を励ます為に、また優等生に戻る。
これから起こる出来事にほんの少し興奮しながら笑う、。

これでやっと、復讐が出来る。

「あっ、綺麗に落ちたね。よかった。
僕の渡し方が悪かったみたいだね。ごめんね。」

すぐに充が首を振った。
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