愛の夢

□-愛の夢-エレジー
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今度起きたら、次こそは、優しくしてやるんだ。

俺は心の中で何度も誓い、いつの間にか眠ってしまう。

誰かの優しい歌声が聞こえる。
俺を温かく包んでくれるようなその声に俺は心地良さを感じた。

もう少し聞いていたくて、眼を閉じたままじっとしてると、冷たい液体が俺の頬にかかる。

驚いて目を開けると、充が俺の顔を覗きこむようにして泣いていた。

ああ、俺はまた泣かせてしまったのだろうか。

俺が充の涙を拭う為に、右手を上げて頬に触れようとすると、充の手が、俺の手の上に重なった。

「充……?」
「ごめんね」
「みつ…る……」

ボロボロと涙を零しながら充が俺の手に頬を押し付ける。

まるで一人で留守番を言いつけられたガキみたいに必死で擦り付けていた。

「思い出したんだ……ぜんぶ…全部…何が起きたのか…彰彦達に何をされたのか……雅彦と暮らした2年間も……全部…全部。」

「嫌だ……」
「今までごめんね…それから一緒に居てくれてありがとう」
「みつる……」

弱弱しく呻く俺に、充はそっと己の手を外し、俺の手も優しく外した。

「みつ…る…」

名前を呼ぶ事しか出来なかった。
充が離れていくのが目に見えているのに、何も引き止める方法が思いつかない。

充がゆっくりと俺から離れて部屋を出て行った。
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