梅香

□序章
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憂鬱だ。



梅宮 茉莉(ウメミヤ マツリ)は車の窓から外を覗いた。
風が自慢の腰下迄ある髪を緩やかに揺らす。

外は曲がりくねった道と木ばかりだ。

茉莉は半ば無理矢理に家族旅行に来ていた。
行き先は聞いていない。
元々茉莉は来る気も無かったから話を聞いていなかっただけなのだが。



そんな中、車は道を逸れて神社のような所に入って行った。

『…着いたの?』

「まだよ。
調度ここの花が綺麗だから此処でお昼食べようと思って」


確かにこの神社には綺麗な梅が咲き誇っていた。

だが、何故わざわざ外で食べなきゃいけないのか。
車の中ではいけないのか。

茉莉はため息をつきながら車の戸を閉めた。



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