鼓動は生まれる(仮)

□戸塚明希の証言U
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見たところ三人とも一年生だろう。今年の一年は他校も面倒臭いのかと呆れてしまう。

携帯で時刻を確かめると、三人に付き合っていては始業時間に間に合わない。

周囲を確認すれば、駅前ということで人通りは多い。
助けてはくれないけれど、何か起こせば通報されるかもしれない。補導されたら、先輩と会える昼休みが潰れるかもしれない。

それは避けたい大問題だ。


「……」

宮藤辺りが通りかかれば良いのに。チビだけど強いし、顔もそれなりに知れ渡っている……とは自称かもしれないけど。
ここで“先輩”は出てこない。これくらいのことで先輩の手を煩わすようなら、自分自身のことが許せない。宮藤ならいくら巻き込んでも良い。

男達はニヤニヤと笑う。

「お姉さん、取り合えず何処に行くか決めようよ」
「お姉さんの分は奢るし」
「カラオケとかゲーム出来る所に行く?」

肩に回された腕が気持ち悪い。顔が近い。
この腕を掴んで投げ飛ばして、この顔は地面にくっ付けてやろうか?

「黙ってないで何か言ってよー」

何か?
口を開けば暴言しか出せないけど?

「お前らウザい。黙れ」



……暴言が飛び出たけど、私は口を開いていない。
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