★天使達のセレナーデ★

□血ぬられし兄妹(兄神)
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「神…神威っ…う゛ぁぁ」
「だから…言ったのに」
少年は少女を痛めつけている。


☆……


少女はいつも通りに「万事屋銀ちゃん」へと白くてモフモフしている愛らしい大型犬・定春の散歩から帰るハズだった。
「今日の夜ご飯は何アルカネ♪定春!」
「ワンっ」
もうすぐ帰れるハズだったのに。
少女は少年に会ってしまった。
自分と同じ眼の色をしていて、長い髪を三つ編みに結いており、黒いチャイナ服をきている。

少女が最も「憎んでいる相手」であり、「嫌っている相手」-…そして「大好きだった相手」でもあるのだ。

その少年は少女・神楽の実の兄貴・神威だった。
少年はニコニコしながら少女に徐々に近づいてくる。「散歩中悪いんだけど…聞きたいことあるんだよネ。俺は」

少女は一歩後ずさる。身体を少し震わせながら…きっと怯えているのかもしれない。

実兄に対しての「恐怖感」ではなく、少年の身体にいる“獣”に対して…。

少女は危険を察知したのか定春を逃がした。
「行くネ、定春。」
「ワンっ…」
定春は少女の言う通りにかぶき町を駆け抜けていく。

少年はしばらくしてから口を開く。
「そんなに怯えた顔しなくてもいいのに。それに、身体も震えてるよ。大丈夫〜?」
少年はこの状況を楽しんでいるようだった。
軽い口調で少女に話かけている。
「お…お前に心配される覚えないネ…」
少女はあえて強気にでる。そして少年に傘を向ける。「何のつもり?お前に俺は聞きたいことがあるって言ってるだけなんだけど。」少年はニッコリした顔を少しひきつらせた。
「聞きたいことって何アルカ?」
少女は少し傘を下げる。ー少年はニコニコした顔に戻る。

「お前ってあのお侍さんの所にいるんだろ?どこにいるのか教えてくれよ。」
ニッコリしていたさっきまでとは裏腹に眼が開かれるーっ…。少女は少しうろたえる。
(「きっと神威は銀チャンを殺すつもりネーっここで止めなきゃ銀チャンが危ないネ。」)
少女は下げていた傘を上げて少年に再び向ける。
「お前っ銀チャンを殺すツモリアルカ。…銀チャンは殺させない。お前のコトは私が止めるアル」
傘の中の“弾”を少女は少年に向かって乱射させる。少年はその“弾”を軽々とよける。
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