夜のティータイム
□ボスを倒してハッピーエンド
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「――あなたは心が読めるんでしょ ?」
「読めるけど、不安になるんだ……。
心の声と言うのは、常に不安定でね ?
言葉ほど、確かなものではないんだ」
フワリと、アリスの頬をかすかな温度がかすめる。
確認できるか、できないかの、ささやかなキスをナイトメアはアリスに送ったのだ。
不確かな温度に、アリスはナイトメアを見つめて、ポッと頬が熱くなる。
ふっと、ナイトメアが、急に自信を持ったかのように口角をあげた。
ナイトメアは嬉しそうに、恰好つけたような言葉をアリスとかわす。
「何だ、物足りなかったか ?」
「つっ !!」
アリスは「ナイトメア!」と、無理やりナイトメアの顔を引きよせ、無理やり何度も角度を変える軽いキスを仕掛けてやる。
とたんに、ナイトメアは、さっきまでの余裕な態度がガラガラと崩れ去り、目を白黒させながら、真っ赤になって焦り出した。
「〜〜 !!」
「ふふ……、顔色が良くなって、良かったわね ?」
今度はこちらが、ほくそ笑む番だ。
「アリス ! アリス !
げほ、げほ、ぐえ〜〜ほっ!!」
ナイトメアはアリスの口に血がつかないように、気を使ったつもりなのだろう。
とっさに、アリスから離れて、又、吐血を繰り返した。
「ナイトメア !!」
「ぐふうっ !!」
「げほ、げほ……、……アリス、すまない……。
嬉しくって……、つい、吐血してしまった……」
ナイトメアの顔色は先ほどよりも、悪くはない。
むしろ、ほんのり、頬がピンク色だ。
今度は頭に血が上って、吐血してしまった。
フウッと、アリスは息をつく。
気が、そがれてしまった。
どんなに、甘い雰囲気に持っていこうとしても、ナイトメアは恰好がつかない。
一瞬、見せる、ミステリアスな雰囲気も、台無しだ。
「ナイトメア、一応、聞くけど……、続き、する ?」
「……し、げほっ、ゴホッ、……したいとも……、……しかしな……」
「ふふ……、ナイトメア……、私の返事はYesよ……。
だけど……、まずは、ここにある書類を、外で今グレイが奔走している間に、全て、片付けて、病院に行って、キスの味に血の匂いが消えた時にね ?」
「〜〜 !!」
ナイトメアは、これで、病院も仕事も、全て、片付けてくれるだろうか ?
可愛い夢魔のプロポーズが、成功するのかは、彼の、これからのわずかな時間と、行動にかかっている。
end
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