動
□3.赤染めの桜
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呼ばれてアクラムのもとへ行ってみると、彼は水鏡を見ていた。
「赤い桜…」
そこには、真っ赤に染まった桜があった。
「怖いか」
そう聞かれた。私は頭を横に振り、
「人より怖いものなんて、ない」
そう答えた。彼はその言葉に満足したように私の髪の毛を梳き、そのまま奥へと行ってしまった。
その後ろ姿を見送り、目線を再び水鏡に戻すと、そこにはただの水面があるだけだった。
「人間は、嫌い」
水面を乱し、私もその場から立ち去った。
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