動
□4.恐れ
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頭が痛い。
足元が覚束ない。
ここがどこだがわからない。
「私は…一人でいなければならなかったんだ」
そう思い知らされる。
「何も見たくない、何も聞きたくない」
何もかも、忘れたい。
そう思ったとき、何かに包まれた。
「君が、あの赤染めの桜にいたというもう一人の神子殿かい?」
人の扱いに慣れていそうな、そんな声。私は懐から扇をだし、両腕を弾き返した。
「おやおや、扇でここまでの威力を出せるとは…
武術に通じているのかい?」
改めて見たその男の顔は、いかにもプレイボーイといったところだった。
「護身術。お前、元宮あかねの近くにいた人間だろう」
男を睨んでいった。
「君は?鬼に仕えているのかい?
それにしては、頬が腫れているようだけど」
飄々とした感じで、その男はそう言った。
私は
「お前には関係ない」
そういって隠形しようとした。すると、
「待って」
そう手を掴まれた。そして
「何を、恐れているんだい」
そう言われた。