動
□2.龍脈
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翌日、夕方にアクラムが出かけていく気配を感じた。
「白龍の神子の所…」
玉座を見ていたシリンに、後ろから声をかけた。
「更紗、様」
「シリン、アクラムが好き?」
その場から動かないで、私はそう聞いた。シリンは、僅かに肩を震わした。
「可愛いね、シリンは」
私はそう言い、踵を返した。
視線を感じたが、それでも振り返らなかった。
暫くすると、アクラムが返ってきた。
「愚かな娘だった」
私を呼ぶなり、彼はそう言った。
「だが、退屈はしなくてすみそうだ」
そう口元を歪めた彼を、私はただ見ていた。
「更紗、明日私と一緒に来てもらう。
お前の初仕事だ」
私はその言葉に、ただうなずいた。