動
□3.赤染めの桜
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夜
私はアクラムとともに赤染めの桜のもとへと来ていた。
「更紗、お前はこの桜のもとで待っていろ」
アクラムはそう言った。私はそれに従って隠形し、木の下に座って待っていた。
すると、叫び声と血の匂いがした。そしてしばらくして、女の叫び声がしたと同時に、凄まじい風が吹いた。
「アクラムか…」
私はその場に顕現し、与えられた扇を一閃した。すると私の周りの風は止み、周囲の風はさらに強くなった。
しかし、周りに結界が張られ、風は止められた。そして、気が付くと私とは反対側に陰陽師が立っており、結界を施していた。
「邪魔」
私が扇を一閃したと同時に、空からアクラムが切りつけた。
しかし、その両方共が防がれてしまった。
「更紗、無事か」
アクラムは私に目をやった。私は即座に彼の隣に顕現した。
「使いこなせるようになったか」
彼は嬉しそうに顔をほころばせた。そして陰陽師に向かって
「目障りな」
そういって切りかかった。が、その刀は軽く弾き飛ばされてしまった。
しかし
「っ…」
陰陽師が息をのんだ。